第十五回 ちょうどその時だ。


 ――警報の調べ。重なり重なり合って合唱の域。強固たる指差し確認に似たり。



 マーチングな出撃。「梨花りか、行きまーす!」と声高らかに、水飛沫を上げるの。


 今はボートの形態。海面を抉りながら走る。


 そんなに距離はなかった。第三のシャガイを目の当たりに見かけた。僕は先制攻撃はしないの。見かけたからといって、必ずしも攻撃してくるとは限らない。


 様子を見る……


 様子を見るの……って、尋常とも思えないスピードで、このボート形態の機体に接近して弾き飛ばした。水上が普通の今の形状なのに、宙を舞うクルクルと。


 そこでトランスホームだ。それはレバー式だ。三つのレバーがある。『B』はボート形態。『K』はコケコッコー形態。『H』はヒューマン。人型形態。三通りの可変。



 選ぶは『H』……


 御馴染みの人型形態。複雑伴う変形だけれど、それに費やす時間は電光石火だ。



 とはいっても十三秒ほど。その間に攻撃されたら大変なため、結界を司るフィールドが展開されている仕組み。つまり十三秒が最速となる。この機体のベースとなるシャガイへの負担が大きいからだ。悲鳴にも似た音声を発しているの。


 頻繁な可変は避けたいのが本音となる。なら、この人型形態が自然となる。そして戦うのだ。やはりシャガイは攻撃してくるの。このシャガイが第三とすれば、僕が今、魂の執筆で動かしているこの機体は第一。前回、サンダーブレイクを直撃した第二は、即死と思われたのだけど、奇跡的に生き返ったそうなの。……でも、サイボーグとして。


 そして尚、新たなる機体として蘇った。

 それは尚、僕のパートナーとなる新たな四季折々……


 僕のピンチを救うため、今、その姿を露わにした。正式名称『Plum 014』の登場だ。

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