第十四回 梨花と理解の間に。


 ――その距離は縮まる。


 それは可奈かなとの距離なのか? 機体との距離なのか? ……ならば、ゼロ距離だ。



 明かされたことは、僕自身が『四季折々』ということ。つまりは機体の脳の部分に位置するの。その中にはもう、真の目的が埋め込まれている。僕の脳内に。そして記憶の中にだって。操縦のためのエッセイには、僕が思っている以上に深い意味があるそうだ。


 想像もできない程のこと。


 前世からの、深い繋がりがある。


 ただの敵ではないの。白銀の敵……もしかしたら、敵はもっと別にいるそうなの。白銀の敵の正式名称は、『Plus 096』その通称は『シャガイ』と、呼ばれているそうだ。



 そして四季折々……


 それにも正式名称があって『Plum 013』……その通称は『セゾン』と呼ばれるの。

 実は、それが僕のコードネームだ。


 僕の遺伝子の中には、シャガイと類する遺伝子が存在する。そして搭乗している機体こそが、そのシャガイを改造したもの。つまりシャガイをベースとしたサイボーグだ。


 だったら何? 僕の双子の妹……千佳ちかにも、同じ遺伝子があるってこと? そうなるよね? と、恐る恐る問うと。……可奈は目を閉じ深く息をしてから、静かに語るの。


「可能性は、あるかもね。

 ……でも、遺伝子濃度は違って、梨花りかだけが操縦できるの。つまりこの機体を動かすにはシンクロ……つまりベースとなってるシャガイとの波長が合ってることが条件で」


 だからこそ、


「――梨花あなたでないと真の解決はできないの。

 私たち人類と、シャガイの間にできた溝。その戦いを収束させる道を築き上げることこそが、私たち人類が望んでいる真の目的だから、それを妨害する者こそ真の敵なの」



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