第十三回 十三番目の適合者。


 ――それは他の誰でもない、僕のことだった。



 海に浮かぶ要塞基地の役割を担っている戦艦。無数の器具とチューブから解放された僕は、看取るシャルロットさんを腹パンで気絶させて、この敷地内を今も探っていた。


 ……僕のなくした記憶の糸口を。


 それは戦う理由に通づるために。資料室らしきもの……すべてはコンピューター制御によるものだから、簡単には見つけられない。なら、懐を狙うの。


 僕が知る限りの可奈かなの癖……


 駆ける足取りの中、手繰るその糸口。――可奈なら、極秘事項をどうするのか? 何処に収納し仕舞い込むのか? その答えは執着するもの。可奈が執着しているものだ。


 それは機体。


 僕が乗っていた『四季折々』だ。その前に立つと大いなる警報音。罠を仕掛けられたようだ。隠れていた警備員に取り押さえられた。地面に倒され、首根っこを掴まれた。なす術もなく敢え無く捕まった。……そのまま僕の身柄は指令室、可奈の前に差し出され、


梨花りか、あなたのことだから、そんなことだろうと思ったけど……

 わかったわ。すべてを話す時が来たようね。その前に、これだけは覚えといて」


 可奈の表情は変わる。

 固唾を呑む僕……徒ならぬことと、そうとしか思えないような、そんな空気だ。


「あなたはもう、この戦いからは逃げられない。

 そして、この機体を操縦できるのはあなただけなの。なぜならば四季折々は、あなた自身だから。……あってはならないことだけどね、事実そうだから、仕方ないよね」


 衝撃なる事実……


 となる場面だけど、もう少し嚙み砕いてくれないと、理解に苦しむの。


「何々? そのキョトンとした顔は? 覚悟を決めた言葉なのに……」


「ごめん、もう少しわかるように説明して。僕なりに理解しようとしたけど……」



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