第十回 それでも戦いだから。


 ――襲い掛かる鋭い爪は、容赦のない攻撃。躱す、躱すも宙を舞う頭部。



 それは間一髪、ヘルメットというのかガスマスク。緑の顔を覆っていたものが、飛んだだけだった。……なら、晒された素顔。一つ目の……白いフェイス。


 僕は、見てしまったのだ。


 自分の綴るエッセイによって動く機体の、仮面に隠された顔。……それは夢にまで出てきそうな顔。ショックに等しいこと。僕は叫ぶ! ショックの色を晒しながら。



 すると目から放たれるビームのような体液。


 それは確実に、白銀の敵のお腹に穴を空けた。貫通したのだ。ただ……成り行きでも戦いの舞台となった研究所の看板にも穴が開いたのだ。そしてのたうち回る白銀の敵、穴の開いたお腹を押さえて……体液と共に、腸も飛び出していたのだ。


 僕は催し、吐き出した。


 モニター越しでも、生々しい惨劇。涙さえも……涙腺も完全なる崩壊を遂げ。繰り出すの。――もうやめて! と心の叫びも、高らかに上げながら。


 一万ボルトの閃光を放つ。


 装甲は剥がれて露わとなった人と同じような肌が、青白く輝いたその時だ。それがこの機体の持つ最強の必殺の技、セゾン・サンダーブレイクだったのだ。


 一瞬にして……

 一瞬にして、のたうち回っていた白銀の敵は、煙を上げながら真っ黒になった。


 そして立ち尽くす。装甲に隠れていた……裸体を露わにした姿で。コクピットであるお腹と、可変に必要な関節部分は機械だけど、それ以外は生物。……白銀の敵とも類似るフォルムなの。やはり女性のようだ。子孫繁栄に必要な機能は、そのまま流用されているようだ。この機体、四季折々のベースが白銀の敵。初陣で倒した肉体を改造したものだから。そのことは何に語られる。可奈かなの口から……実は彼女こそ発案者なのだから。

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