第九回 サッと色を変える海。


 ――それは、赤く染まるのか?


 そうであるならば、僕の機体は緑の趣となる。



 あくまで装甲の色。その奥は所々に覗ける人と同じ肌の色。切れば体液が流れると可奈かなは言っていた。その体液は、白銀の敵と同じ色をしていると、そうも言っていた。


 そしてガスマスクのような頭部。


 ギロッと不気味に、一つ目が覗いているのだ。



 白銀の敵は間近に見ると、前回とは……多分、性別の違いなのか、体格の違いが明白ということもあり、男性のように思える。速くなる鼓動、それも心の。


 僕ではなく機体自身。トクントクンと……

 パイプを通る息遣い。それも荒々しく……


 伝わる僕の思春期の部分に。今着ている体操着の、その奥にある熱い部分。身体は火照る、熱を帯びるほど。なら、この機体は僕と同じ女性ということになる。だから狂おしい程にシンクロするの。――だったら、なぜ戦うことになってしまったの?


 僕ら人間が、子孫繁栄するように、


 白銀の敵だって、きっと生きる権利はある。……でも、白銀の敵は、僕を攻撃してくるの。その鋭い爪は、機体の緑の装甲を掻き毟るの。同じなの……前と。


 攻撃しなければ、やられちゃうから。


 わかり合う方法はないものかと、そう思いつつも僕は攻撃に転じる。そこで、この機体の性能だ。ジャンプ力は……五百メートル? 白銀の敵に匹敵するの。


 そこからの急降下。キックの体勢。名付けて『セゾン・キック』だ。


 ヒットするも、白銀の敵にダメージはあまりないようだ。何だかシールドを纏っているようなのだ。その瞬時に、白色の光が遮ったのだ。寧ろダメージはこちらにある。


 繰り出した脚、そして背中を叩きつけられたの。クラッとする機体はそのあと……



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