第四回 颯爽たる仕切り直し。


 ――と言うよりも、機体の回収が先じゃない?


 大破した車をレッカー車で運ぶような要領で、大破した僕の機体も大型船が運ぶの。



 見渡す海は、限りなく広くて……


 僕がこの戦闘で得たダメージも、治癒してくれる母なる海よ。特に思春期の女の子の心は不安定だから、カウンセリングが必要で、僕を担当してくれる女の子が今目の前に。


「って、何だ梨花りかだったの、私が担当する子」


 記念すべき第一声がそれだから、もはや顔見知りということは明白。



可奈かな、機体担当だけじゃなかったんだ? 僕の心のケアもしてくれるの?」


「梨花のツボは知ってるから、あっという間に絶頂すること間違いなし。梨花を攻略するテクなら誰にも負けないのっ。喩えあの派手派手女のせつにだって。そう思うでしょ?」


 って誰? 可奈は僕にではなく、その子に振ったの。


 背中まで流れる長い髪。艶やかな栗色。瞳は青く色白の……どう見ても異国の少女。


「そうですね。でも、摂さんも考えてますよ。

 梨花さんの特性を知るために、千佳ちかさんを使って細部に至るまで研究。……そして最近になってですね、梨花さんに潜在するチート能力があるらしきことが、先程の戦闘で現れたようなのです。あの刃のような白き光は、機体からではなく梨花さんから発せられたもの。もしかしたらですね、梨花さん自身が『四季折々』なのかも……」


「こら新人、迂闊に言っちゃ駄目でしょ? それはあってはいけないことだから。ピンチによって機体とシンクロした結果。あくまでそうだから。そうよね?」


 と、念を押す。圧もかけながら。可奈が、その新人さんに。


「あっ……はい、可奈さん」


「わかればよし、ええっと、シャーロックスターシャ・ルイーズベルモット・エッフェルエンペラー・シャルル・ド・二十六世……君。だから、もっと短くならないの?」



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