第三回 考えられない必殺技。


 ――それは左腕から、発射されたパンチなのだろうか? セゾン・パンチ!



 断末魔の声の、その直後に出た掛け声。思わず出た技の名前。四季は四つの季節ということもあり、フランス語で『セゾン』となった。機体の名前が『四季折々』だから。


 夏を彩る海は、青く広い。


 そして宇宙から見た地球は、とっても青いそうだ。


 そして、目の前にいる白銀の敵は、未確認生物……地球上の生物ではないそうだ。どうして現れたのかは謎。ある日突然に、異常発生したという。


 地球温暖化の影響。オゾン層が破壊されたことによって、誕生したとも記録が残されている。ならば、白銀の敵の生態には、温暖化を解決する糸口があるのかも?


 僕は、その研究員……


 ということが、蘇るのだ、記憶の中で。盗まれた過去は、取り戻された。僕は前世から戦ってきたのだと思えるの。生け捕るのが望ましいのだけど、機体はもう……


 大破に近い。


 最後の足掻きで発射されたセゾン・パンチは、白銀の敵の腹部にヒットした。


 吹き飛ぶ白銀の敵。しかしながら、コクピットを覆うハッチは破壊され、僕は直に外の世界を見ている。つまり機体の……四季折々の腹部に、大きな穴が開いていた。


 吹き飛んだはずの白銀の敵は、


 またこちらに向かってくる、動けなくなった機体に向かって、僕に向かって。



 ――振り下ろされる大きな爪!


 機体の頭部を狙わず、僕の頭部に向かってくる。……その時だ! 白い光が立ち上がるのだ。僕の頭上、頭の天辺から刃のように鋭い光が、白銀の敵を真っ二つにした。


 右と左が……体液を放ちながら分離したのだ。白い光は瞬間的なもの。でも、カッターのような切れ味。僕も知らなかった、考えられないような必殺技だった。



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