第5話 『ねこママ出自の謎』 その3


 この15キロ以上に及ぶ長い橋やトンネルは、にゃんにとっては、いささか不思議なしろものでもあるのです。


 なにしろ、橋は途中でいなくなり、姿が見えなくなるのですから。


 だからこそ、好奇心が強いにゃんにしてみれば、向こう岸に行って見たくてしかたがないのです。


 でも、途中で無くなるのは、気になります。


 『人間は、途中から海の中を泳ぐのかしにゃん。』


 こっちがわのにゃんの間では、もっぱら議論になっていました。


 一方、反対側のにゃんたちには、そういう不思議感はありません。


 もっとも、どちらのにゃんにとっても、中央あたりに、美味しいものが食べられる天国の様な場所があるらしい。


 そのような噂が、流れていたのです。


 だから、そこが、実は、地獄の様な場所だとしても、やはり、その場所に対する興味は、つのるばかりだったのです。


 両方から、女(め)にゃんと、男(お)にゃんが同時に出発したのは、ほんの偶然にすぎませんでした。


 しかし、この、ふたにゃんこそが、ねこママの両親となったのです。


 でも、そう簡単な訳でも、なかったのです。



          🐈   🐈

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『ねこママの知られざる過去を探ろうとするやましんの悲喜劇』または『甲斐のない努力を重ねたサラリマンの末路に関する一考察』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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