5話 理由と過去

どさっ!そんな生ぬるい音じゃない。

バキャ!グシャ!

明らかに何らかの動物が高い所から落ちた音だ。

慌てて外に出ると、そこには、つい数秒前まで姉さんだった肉片が転がっていた。

「え?」

理解が追い付かない。

なんだよ、これ。昨日の夜は元気に話してたじゃんか。

一分弱その場から動けなかった。

「おい!よーやん!よーやん!おいっ!」

涼に肩を掴まれ、我に返った。

そのあとはよく覚えてない。

ただ覚えてるのは考えられない吐き気と、喪失感だった。

数日が経ち、姉さんの葬式があった。

也槻やつきくんと、涼くんですか?」

「はい…」

「初めまして、私、あみさんの担任の池野いけのというものです。」

そこには、20代後半くらいの女性がいた。

「姉さんの担任?」

「はい、突然お姉さんが亡くなって、まだ気持ちの整理もついてないよね?」

「………はい」「そうですね」

「それでね、そんなときにする話じゃないけど。お姉さんのことで話があるの。」

その話の内容は、姉さんの自殺についてのことだった。

姉さんは、学校でいじめにあっていた。

その内容は今でも吐き気がするくらいに胸糞悪い内容だった。

そいつらは姉さんがおとなしいのを良いことに、脅し、恐喝きょうかつ、暴力、強姦ごうかん、そして、日常のように「死ね」「消えろ」「キモイ」などの罵声ばせいを浴びせていたらしい。

普段は温厚な涼も、その時は俺も見たことないくらいに怒りをあらわにしていた。

だが、そんな涼とは違って俺は、そいつらに怒りの一つも感じなかった。

いじめの加害者は自首をしたが、そんなことをしたところで姉さんは帰ってこない。


今、この投稿をしている主がで自殺を考えてるのかわからないが、

死ぬ前に投稿をしてる時点で、少なからず未練があるってことだ。


なんか引っかかる…


そうだよ、理由だ。

明確な理由がないことには、死のうと考えていてもすぐには実行には移そうとしない。

そして俺はすぐにコメントした。

(間に合えっ!)

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