6話 本当の答え

「主…ひとつ聞くが、死ぬ理由はなんだ?」

(答えてくれよ、頼む)

すぐに返事は帰ってきた

「理由か…なんていうんだろ、この先、生きる理由が見いだせないって言うか…よく分からないんです。」

そんな理由だった…

全くもって、これといった内容もなく、ただただ「生きる理由が見いだせない」そんな言葉で片付けられてしまった。

そんな、くだらない理由で人は死のうとは思わない。言葉にしても、体を動かそうとはしない。彼女は何かを隠している…

「他には理由はないのか?」

絶対に、あるはずだ。本当の答えが。

「別に話してもいいんですが、長くなりそうなんで、少しだけ書き込む時間をください」

そんな返信から約7分ほど経ち

「まず私の家は、母子家庭でした。そのため私のお母さんは朝から夜までほとんど毎日仕事でした。たまに取れた休日では、近くの公園などにピクニックをしに連れに行ってくれました。ですが3年前仕事場で倒れていると、学校に電話が来ました。過労だったそうです…それ以来、私は親戚の家に預けられました。当時、私は中学1年でしたが、あまりにも世界は残酷だと知りました。お母さんは私が建築関係のことを学べる高校に行きたいという事を知り、私のために身を粉にしても働き続けてくれました。ですがその願いが、知らず知らずのうちにお母さんを苦しめ、殺してしまったと思い。私は何も出来なくなりました。結果、志望校には受からず、志望校とは別の学校に通うことになりました。それ以来、自分は何者なのか、自分の生きてる理由、自分の未来が全て分からなくなって、今に至るって感じです。」

(……)

本当の事を知り俺は言葉を失った…

俺が…いや、この投稿を見てる全員が、こんな回答だとは思わなかったはずだ。


「でも、終わりですから…」

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