第3話 年寄り臭いのも、なんだか!

3.年寄り臭いのも、なんだか!



 はい、前回は清少納言さまが「ブス、デブ、ゲス」が嫌いなようですと申し上げましたが、「年寄り臭い」のも嫌いなようです。


(笑)


 それも、1か所だけでないので、拾いきれません。

 相当嫌いなのでしょう。

 誰のことだったのかな。


 まず、有名なところしては、第28段の「にくきもの(憎たらしい奴)」です。

 火鉢の取り合いでもしているのでしょうか?


 今回は、「にくきもの」の3人目を頂くことにしましょう。


 軽いジャブから始まります。


【現代訳のようなもの】

  なんのとりえもないくだらない人が、ニヤニヤと笑みを浮かべて、

  得意になって自慢話などしている様子は憎たらしいですわ。


  火鉢の火や、炭櫃などに、手を裏返し裏返して、擦り合わせて、

  しかも、手のしわを伸ばしている人などは見苦しいですわ。

  いつ若い人が、そんなことをしただろうか? と言いたいですの。


  醜く老いた人が、それはもう、火鉢の端に足を持ち上げて、

  足をこすり合わせて、ものを言う人がいるのですわ。(もう、ダメですわ)


  そのような不作法な人は、他人のところに来て、

  自分の坐る場所を確保するため、扇であちこちのゴミを払いのけて、

  塵も払い捨てて、さらには、坐っても落ち着きがなく、

  衣の前を、お股に挟んで坐るに違いないですの。


  こんな不作法なことは、ゲスな方がするかと思いきや。

  少しマシな身分の方で、式部の大夫といった人がしたのですわ(笑)




【原文】

  なでふことなき人の、笑(ゑ)がちにてものいたう言ひたる。


  火桶の火、炭櫃などに、手の裏うち返しうち返しおし伸べなどしてあぶりをる者。

  いつか若やかなる人など、さはしたりし。


  老いばみたる者こそ、火桶の端に足をさへもたげて、

  もの言ふままにおしすりなどはすらめ。


  さやうの者は、人のもとに来て、ゐむとする所を、

  まづ扇してこなたかなたあふぎ散らして塵(ちり)掃き捨て、

  ゐも定まらずひろめきて、狩衣の前まき入れてもゐるべし。

  かかることは、いふかひなき者のきはにやと思へど、

  少しよろしき者の式部の大夫(たいふ)など言ひしがせしなり。



 えっ!?


 これ、個人攻撃ですよね。

 年配の式部の大夫って、高級役人なわけで、何人もいないはず。

 それを草子にして、皆さんに配ったってことです。



 火鉢に足を乗せる

 衣の前を股間に挟む

 この2点に、グッとくるものがありましたわ。


 ちなみに、「式部の大夫」とは、5位以上の役人で、"紫式部の夫”の藤原宣孝も、その一人。

 おそらくは……

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