第4話ガオウルフ来る!

 俺がこの世界で活躍するのはそう長くはなかった。

 遠くから犬の遠吠えが聞こえてきたので夕方のチャイムの音に反応するわんこを思いだししみじみしていた。

 「あれはこの辺りを荒らし回っているガオウルフです」

 わんこではなく狼であった。

 黒曜石のような色の牙するどい爪、おれなんかすぐに引き裂きそう。



 そしたら裸ん坊。裸の大将だ。

 だが俺はこの世界では完全体になっていると思われるのでアチョーと声をあげてそれっぽいかまえをした。

 名付けてアヒルの型である。


 ガオウルフは長い舌をたらして今にも襲いかかってきそうだ。しかも五、六匹はいるであろう。

 陣形まで組んでいる。

 ふん、俺は近所の犬と算数対決で負けた経歴がある。

自慢じゃないがな。


 ガオウルフ前列(あいうえお順で並んでいるのであろう)が今にも飛びかかってきそうだが俺には剣などもっていない。

 まさに『何も持ってない俺にガオウルフ』ということわざのような窮地にたたされている。

 


 

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