第9話
「なぁ、ミリーもう一度聞いてもいいか。」
「良いですよ。何度だって教えますよ。」
「俺と結婚を前提に付き合って頂けませんか?大好きな絵は描けないかもしれません。知識を新たに入れられないかもしれません。本も読めないかもしれません。でも、俺はあなたの知識を使わせてもらいたいし、読めない本は俺が読みます。絵は一緒に他の方法を探しましょう。俺はあなたが好きです。愛しています。だから、側にいて欲しいんです。確かに前みたいに自由は少ないでしょう。でも、でも、俺は貴方と笑っていたいのです。音楽の話をしていたいのです。俺が貴方の目になります。足になります。お願いします。」
「……自由は目が見えない時点でないみたいなものですけど。それに、私に出来るお仕事は限られています。それに……」
「これは命令です。否定は受け付けません」
「……はい。喜んでお受けします。」
ラブロマンスなんて、嫌いだったはずなのに相手の家の人の前でよくこんな寒いセリフを言えたものだ。自分で言い終わって冷静に考える。
「お姉様。看護婦さん呼んできて」
「え」
「泣きそうなの。血が出てきてしまう。」
「わ、わかったわ。皇太子様。ミリーをよろしくお願いしますね。」
そう俺に言うと、クロエは病室を出ていった。
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