第5話 猫耳妹が可愛すぎる件


「よし、今日はここら辺にしておくか」


 簡単な魔法のコツを掴んだところで、俺は家に帰ることにした。

 家に帰ると、家族が俺の誕生日を祝ってくれた。


「「ディザー、誕生日おめでとう!」」

「わー! ありがとう!!」


 本来、猫族の誕生日というのは猫族全員でやるものらしい。

 だが俺は人間なので、グレイスとミリエットが祝ってくれている。


 二人には感謝しかない。


「ディザーももう五歳かぁ、立派になったな~」

「ほらほら、二人ともこっち来なさい。ご飯、暖かいうちに頂きましょう」


 そうして俺達は、机の上に並べられている数々の料理を頂いた。


「ディザー君、美味しい?」

「うん、ものすごく美味しいよ!!」

「おう、本当にミリエットの作る料理は美味しいなぁ!」

「母さん、いつもありがとう!」

「ふふ、嬉しい」


 正直に言おう。

 前世でも食べたことが無いような、美味しい料理だった。


 流石ミリエットだ。まぁ、料理できそうな女の子の見た目してるもんな。

 グレイスはホントに良い女を捕まえたもんだ。


「はい、これが私からの誕生日プレゼントよ」


 そういって、ミリエットが渡してきたのはアクセサリー? だった。


 銀色の輪に、青い宝石がはめ込まれている。

 おそらく首からかけるものだ。


「綺麗……」

「これはね、魔物から貴方を守ってくれるお守り。いつもこのお守りがディザー君を守ってくれるわ」


(お守りが宝石とか……高級だな)


 ミリエットは、俺にその"お守り"を首からかけてくれた。


「大切にする」

「ふふ、ありがとう」



 ――食事を終えて、俺は妹のミアを見ていた。

 なんて可愛らしい顔と猫耳。

 癒される。


「ほらー、おにいちゃんだぞぉぉ??」

「に、にぃ……」


 しゃ、しゃべった?!

 その瞬間、グレイスが口を開いた。


(なんだよ、今いいところだったのに!!)


「す、すまんが、父さんからは物は何も送れない」


 プレゼントを買っていないということか。


「大丈夫。気持ちだけで嬉しい」


 いや、別にいいんだぜ?

 知らない振りしているけど、俺は二人の子どもじゃないし。

 猫族のみんなに反対されながらも、俺をここに住まわしてくれているんだ。

 育ててくれるだけで、俺はめちゃくちゃ感謝している。


「ディザーには、魔法学校に行くための資金を用意したんだ」

「……え?」


 いや待って、まじで?

 こんな嬉しいことある?

 ……え?


 俺は困惑していた。


「魔法を学びたいって言っただろ。俺達は教えられないから――」

「ありがとう。本当に、本当に……」

「「!?」」


 あまりにも嬉しかったので、思わず泣いてしまった。

 猫族は動物や魔物を狩って食事をする。

 基本的に、お金は必要ない猫族にとって、金を集めるのは大変なのだ。


 ここ数年。昼にグレイスがいないことが多かった。

 きっと、人間の街に働きに行っていたのだろう。


 ああ、グレイス。

 お前はなんて最高の奴なんだ……。


「……ああ、俺達も、お前に元気をもらっている。いつもありがとな」


 グレイスは暖かく笑い、三人でハグをした。



 俺は固く決心した。


(絶対に、守り抜いて見せる)


 三人を……俺の家族を。




 その後、どこの魔法学校がいいのか調べた。

 せっかく入るのなら、評判がいいところに入りたい。


 そこで見つけたのが、「レクイ魔法学園」だ。

 レクイは、ここから何キロも離れた国にある。



 ――この学園に入るための条件は二つ。


 1、ファイアボールのような基礎魔法をマスターしていること。

 2、年齢が10歳であること。


(うーん、後五年!!)


 残念ながら、どちらの条件も満たしていない。

 しかし、後五年もあるのだ。

 時間はたっぷりある。頑張ろう。




 ――――それから、魔法の練習を続け、約二年が経過した。


 練習……というより、楽しいからもう遊びだ。

 もちろん、毎日全力で魔法の練習をしている。


 おかげ様で、自分の魔力の感覚も大分わかって来た。

 近くであれば好きなところに結界を張り、魔法を使える。



 ――最近気づいたのだが、俺は結構魔力が多いらしい。

 一日中魔力を使い続けたことがあるのだが、全然疲れないからな。


 ちなみに、魔力を無理に使いすぎると死ぬ――なんてストーリーも、小説の中にはあった。


「怖い。めっちゃ怖い!!」


 まぁ、そのストーリーも、これから体験することになると思うのだが……。



 俺は7歳、妹は3歳となった。


「母さん! 外に行ってくる」

「はーい!」


 すると、ミアが俺の服の袖を引っ張って来た。


「お兄ちゃん、ミア、お兄ちゃんと遊びたい……」


 ミアの目はウルウルしていた。


 もう! なんてかわいい子なの!?

 こんな顔されたら断れないじゃない!!


「いいぞぉ、お兄ちゃんと、いっぱい遊ぼう!!」


 いつもは普通に遊んであげているので、もうミアも飽きるころだろう。

 今日は、練習もかねて魔法で遊んでやろう。


 喜んでくれるといいな。

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