デリケートな男性の心
妊活小説より
七海「妊活を始めると、かえってレスになる夫婦がいるのよ。」
美都「どうしてですか?」
七海「一番は恥じらいなくセックスを強要する妻の言動に幻滅するパターンね。夫婦ともに子供が欲しいという共通の意識がある場合には『今日が妊娠しやすい日なの』と誘ってもたいてい上手くいくわ。でも美都さんの家みたいに、妻は子供が欲しいけれど、夫はそれほどでもない場合、その発言に『妻は結婚する前よりも恥じらいがなくなった』とげんなりするケースがあるの」
七海「私は年齢的にタイムリミットを迎えつつある40歳前後の女性には『あなたのことが大好きだから、あなたの子供が産みたいの』ってはっきり伝えるように言うわ。『あなたの』ってのをつけるのがポイントね。ただ子供が欲しいからエッチしたいじゃ、男性は種馬扱いされているような気がして気が滅入るからね。あなたを愛しているからこそなのだと伝えることが夫に心から妊活に前向きになってもらいやすいポイントかしら。でも、美都さんはまだ若いから、もう少し焦らずいくのもありだわ」
美都「焦らず?」
七海「知り合いの女性でね『子供がほしい』って夫に子づくりを迫ったら、夫は妊娠するまでセックスをしてくれて無事妊娠したんだけどそれからずっとセックスレス。仕方ないから『二人目がほしい』って言ったら、また夫は妊娠するまでセックスをしてくれたんだけど妊娠したらそこから永遠にセックスレスって夫婦がいるの。別に世の中、人それぞれだから夫婦お互いにそこまで性にガツガツしていないカップルなら、それでもいいのかもしれないけれど。」
七海「男ってのは、抱きたいときは抱きたいし、抱きたくないときは抱きたくない。そんなものよ。美都さんだって、今日は疲れてるから早く寝たいなぁってときと、ムラムラしてるときがあるでしょう? 男はプライドのある生き物だから、妻が言葉でセックスを管理しようと思ってもどうにもならないわ。妻だけが妊活に必死になりすぎるとかえって夫婦関係にヒビが入って、仲が悪くなるケースもあるのよ。大事なのは、妊活を理由に夫に自分を抱けと指図することではなくて、自然と抱きたいと思ってもらえるように魅力ある妻になる努力が必要なのよ」
七海は子づくりにそこまで焦っていない夫に対し、自然と抱きたいと思うまで魅力的なプロポーションづくりやお洒落をするよう美都にアドバイスをする。
こんな物語を書きました。
これはある男性向けの雑誌で「『今日排卵日』と妊活を盾にセックスを強要する嫁にげんなりしている。そういう態度だと余計に協力したくなくなるんだよね」という性に関するコラムを読んだときに男性からするとそういう思いもあるのかと強く印象に残ったのがきっかけです。
「子供がほしい」という認識は夫婦で一致していても、治療してでもほしいのか、そこまではせずにほしいのか、スタンスが違うと片方が強引に進めると、片方の心が離れていく……
男女の心というものは微妙なもので、伝え方や接し方というのはとても大事だと感じた次第であります。
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