第113話「第三部までの登場人物紹介」
――エルフの女王
ローリエ・リングストーン ハイエルフの女王 推定年齢は、二百歳(歳を聞くと怒る)
白銀の長い髪に碧眼。エルフらしい長耳。
その姿は、舞い降りた雪の妖精のようで、細身で小柄ながら胸は大きい。
目まぐるしく変わる表情に愛嬌があり、性格はなんか面白い子(ケイン談)。
シルヴィアお姉様の匂いが好き(ちょっとフェチなのかも)
シルヴィアの妹で、ケインのおば……妹でもある。
――山賊
ゲハルト 三十六歳
一年前に剣姫が王領で起こした『盗賊大虐殺』の数少ない生き残り。
ランダル伯爵領へと逃げてきて、山賊団の団長となっていたが、ここで不幸にも剣姫と出会ってしまった。
いや、幸運にもと言ったほうが良いだろうか。
一年前に比べて、剣姫は物分りが良くなっており、ほとんど抵抗もせずに投降したゲハルト山賊団の死傷者は二人で済んだのだから。
自首扱いとなったため、死罪にはならず二十年の徒刑となる。
その後、一緒に自首した山賊の仲間とともに、犯罪奴隷としてリンゴ農園で働くこととなる。
――アウストリア王国
大隊長オルハン 三十三歳
かつての悪神との戦いでは、一度はシデ城砦の警備隊長として防衛を担当し、二度目はマヤの指示で大隊を率いてエルンの街の防衛を担当している、ケインたちとも因縁深い大隊長。
兵士としても戦争経験豊富で、もともとから王国軍のエリートではある。
貧乏くじを引く傾向があり、部下とともに苦労しまくる。
そのたびに出世してるのは悪運が強いと表現すべきなのだろうか。
領地持ちの准男爵まで出世して、妻子もいるのだが単身赴任が多いのも悲しい苦労人。
モンジュラ将軍 四十歳
北守城砦、千五百の兵を預かる王国の北の守りを統括する将軍。
本編では統治能力、外交能力ともにゼロと、馬脚を現したモンジュラだったが、意外にもその戦歴は高い。
七つの戦場を駆け抜けて十字勲章を三つも下賜され、領地持ちの男爵にもなった異例の出世を遂げた帯剣貴族である。
頭の出来はともかく、騎士としての剣の腕前はかなり高く武勲もあった。
ただその武勲の内実を見れば、優秀な部下の手柄を横取りするなど不正なものもあった。
本人は部下から慕われていると勘違いしていたが、利益を共有している腹心の幹部以外には相当嫌われていた。
冥王アバドーンに操られたあげく、アナ姫に首を切られて死ぬ無残な最期を遂げた。
――エルフ七部族会議
アーヴィン・ラスター 二百五十歳(エルフは、細かく年齢を数えないので推定)
エルフ最大部族ラスターの族長であり、七部族会議の代表でもある。
キラキラと光り輝く金髪のエルフの貴公子。
容姿の整ったエルフたちのなかでも、一際目立つ美男子であり、身につけている鎧の胸当てや腰のレイピアは黄金の装飾をあしらった高価なもの。
女王を
傲慢不遜な男にみえるが、それはエルフの常。
南方から香辛料を取り寄せて、エルフの粉を作ったり、超高級薬草である月見草をフレーバーにしたワインを開発したり、かなりの知恵者で人族との交易も盛んに行っており、頭の固いエルフたちに比べて、むしろ柔軟な発想ができる。
森の都の今の繁栄は、アーヴィンが築いたと言ってもいい。
それゆえに、エルフの国の代表として並々ならぬ責任と自負を持っている。
百年前、族長に昇格したときに仕えたエルフの元女王シルヴィアに強い憧憬の念を抱いており、シルヴィアに息子として可愛がられているケインに嫉妬の念を抱く。
そこを冥王アバドーンに付け入られて魔人にされそうになったが、ケインたちに救われる。
その後、エルフの国を危機にさらした責任を取って、自らを百年の禁固刑に処した。
アトラス・シーダー 四百歳(推定)
エルフの弓兵隊長。
古の森の西側に住む部族、シーダーの族長でもある。
豪胆な性格でエルフきっての武断派であり、その強弓は一気にオーク三匹の頭を貫いてもなお止まらなかったという武勇伝の持ち主。
だが、あまりの剣姫の強さに度肝を抜かれて、それからは少し大人しくなったという。
スラルム・ナラ 八百歳(推定)
エルフの長老。
古の森の北西ナラの族長。
少し気が弱く優柔不断なのは玉に瑕だが、族長会議では一番の年長者で慎重な判断ができる。
――ドワーフの国
バルカン ドワーフの大王
偉大なる
ドワーフの中でも一際体格が大きく、厳格そうな立派なヒゲを生やしている。
首に金の鎖をかけて、いかにも王様といった宝石に彩られた王冠をかぶっている。
繁栄を極めているドワーフだが、意外にもエルフと同じく問題を抱えているようで、ケインに協力を要請する。
それが、ヘザー廃地の移住計画に発展することとなる。
クラフト 砂ドワーフの族長
メガネをかけた白髭、ドワーフには珍しく細面で繊細そうな顔つきをしている。
善良な職人だが、神経質で繊細な性格。
砂ドワーフたちは、ガラス製品を主に作っている。
ガラス工房を作るのに、建築技術まで有している優秀な種族。
ケインのヘザー廃地移住計画に参加した。
ドロッペン 土ドワーフの族長
どっしりとしたドワーフらしいドワーフだが、いつも土いじりをしているので顔が泥だらけ。
土ドワーフたちは、焼き物を主に作っている。
農業にも高い適性を持ち、酒造りにも長けている。
ケインのヘザー廃地移住計画に参加した。
――神
精霊神ルルド
太古より存在した古き神々の一柱。
ルルドの加護によりできた『常春の聖地』を中心に古の森ができ、森の守り神となった。
見守っている範囲が狭いので、神には珍しくその実体を聖地の湖に生える精霊樹の中に置いて過ごしている。
ルルドは、森に住まう古き種族エルフを見守るうちに、そのうちの一人と同化して恋に落ちて子孫を残す。
ルルドの子らは、エルフの中でも神聖な血筋を持つハイエルフとして繁栄し、今はその栄えの時期を過ぎ、衰退して静かに消えかかっている。
人間でありながらハイエルフの血を受けた善者ケインを、ルルドは新しい可能性と考えて特別な加護を与え、エルフの国を救ってくれるように頼むこととした。
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