第9話 巣の崩壊 ❇︎ゴブリン視点❇︎
道端には、大量の魔物と1人の人間の死体が転がっている。
そこに、1つの動くものがあった。
ズクシに支配されていた魔物の中で、唯一の生き残りのゴブリンだった。
ゴブリンはズクシの死体に恐る恐る近づき、持っていた棒で突いた。
生首は簡単に転がり、ゴブリンと目が合う。
涙を流しながら、悔しそうな表情の生首を確認して、ゴブリンは安堵した。
(これで巣は守られた)
巣に報告する為、生首を乗り越えたゴブリンの背後で、何かが動く気配がした。
「どこに行くんだ。お前は、仲間を見捨てて逃げるのか?」
(有り得ない。この声は•••)
ゴブリンは後ろを振り向き、動けなくなった。
ゴブリンの視線の先では有り得ない光景があった。
地面に座る首の無い死体が、ゆっくりと自分の頭を元の位置に戻している。
ゴブリンは死体の背後にいる為、その顔は
見えない。
しかし、首が乗せられた身体は、まるでさっきまでの光景が嘘だったかの様に、自然に立ち上がった。
「もう、元には戻れないんだな。ベック」
ゴブリンは身体中の力が抜け、自分が膝をついた事にも気付かない。
ゴブリンの頭の中にあったのは、巣の崩壊のことだけだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます