鏡#2
放課後、学校の屋上。夕日に横顔を照らされながら1人佇む篠原。
篠原は怒りのあまり戦慄いていた。
ついさっき人生で初めて振られたのだ。自分の容姿に絶対の自信があり、振られることなど想定していなかった篠原は言葉を失い、立ち尽くした。
カバンから手鏡をとりだし、覗き込む。
やはり、自分は美しい。なのになぜ大岩は振ったのか、と理解できない篠原。
篠原は怒りと、そして生まれて初めて自身の存在意義への不安を感じていた。
☆
「ただいま!」
篠原は帰宅すると傷心を誤魔化し、まず父親の仕事部屋に行く。一応ノックしてから部屋に入ると父は笑顔で迎えてくれた。父は大体家にいてパソコンと向かい合う仕事をしていて収入の方も潤っている。
「おお、花玲帰ったか」
「うん。パパ」
篠原は父と軽い抱擁を交わした。
次は兄の部屋だ。同じようにノックして入ると兄も笑顔で迎えてくれた。兄はとても整った顔立ちをしていて、モデルをやっている自慢の兄なのだ。
兄とも軽く抱擁し、その後篠原は自室にこもった。
普通の家族と比べたら少し仲が良すぎるかもしれないが、これが篠原家の日常である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます