二の酉
今日は二の酉である。
十一月の酉の日には、酉の市が開かれるのが習わしなのは、ご案内の通りだが、今年は、一の酉が十一月四日金曜日、二の酉が本日十一月十六日水曜日、三の酉が十一月二十八日月曜日。昨年と一昨年は、二の酉が土日に当っていたが、今年は三の酉まであるのに、いずれも平日と来ている。これでは、ウィークデーに真面目に働いていようものなら、お酉さまに詣でる機会を逸してしまうではないか。実に遺憾極まる。
ということで、今日は、朝のうちに職場にちょっと顔を出し、その後は休みということにして貰った。
さっさと仕事を済ませ、帰りがけに床屋に寄って頭を調え、髭を
ここも、鎮守様同様、主祭神が
ちょうど時分としては、昼飯時。近くの蕎麦屋に寄って、お銚子、山葵蒲鉾、
そうして、店を出て、商店街をひやかし、縁起物の切山椒などを購うと、いつの間にやら僕の足は、昼間から開いている老舗の居酒屋の前で止まっている。不思議なこともあるものである。
ここは、普段、夕方や休みの日には頗る混んでいて、中々席を確保するのが難しい店なのだが、水曜日の昼間ともなれば、非常に空いている。
家人に目配せをすると、敵もだてに四半世紀を
そうとなれば、話は早い。細君は居酒屋なんぞに興味がないときているので、熊手を託してお持ち帰りいただき、
さてさて、何がよかろう。とりあえずは、生ビールにホルモン炒め、さらには、ポテトサラダ、そうしておいて、ホッピー、湯豆腐……
随分お腹もくちくなった。勘定は、これで二千円ほど。実にめでたいお酉さまである。
ところで、冒頭にも述べた通り、今年は三の酉まであるのだが、こういう年は何でも火事が多いとか。
しかれども、心配するなかれ。本来、このような祭事は、旧暦にて行うべきものである。新暦の十一月に、日にちの干支のみ旧式というのは、いかにも中途半端である。
さすれば、月日も旧暦として、これで十一月の酉の日を調べてみよう。
どれどれ――?
旧十一月五日乙酉(新十一月二十八日)、旧十一月十七日丁酉(新十二月十日)、旧十一月二十九日己酉(新十二月二十二日)。
――何と、旧暦にしても三の酉まであるではないか。
これはどうしたことか――
まあ、よかろう。そもそも、僕は唯物論者なのである。
<了>
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