第2話
「マジかあ……」
頭を抱えた。
なんか、どーりで聞き覚えのある声だと思ったよ。つい数分前にあってるんだったらそりゃ聞き覚えあるわ……
「和也ーほんとにどうしたの?」
「いやさっきちょっとね。あの事いろいろあってさ」
「は?」
「いやお前が考えているようなことじゃないって」
「いーや、お前はいっつもそうだ。いつも、知らない女にまとわりつかれていっつもよくないことが起こる。お前はいつも、「じゃあ、ペネロちゃんは、和也君の隣ね」
「はい」
「た゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
「うるさ」
そんな会話をしていると、
「さっきぶり、よろしくね。えーっと」
いつの間にか隣の席に、彼女がいた。
? ……そうか名前がわからなくて困っているのか。
「自分は、佐野和也って言います。後ろのこいつは汐聖咲耶、俺の幼馴染です」
「ええ。よろしくお願いします。佐野くん。咲耶ちゃん。ペネロでいいよ」
「……」
「ちっ、よろしく」
そういや、さっき一番大事なところを説明をするのを忘れていたが、
「……えーっと、あのー、咲耶「ちゃんでいい」
「お前はくんだろ」
こいつは男だ。
「む」
可愛らしくほっぺ膨らませるな。やたら様になるんだから。
「わかりました。咲耶さん」
「けっ、しらじらしい。悪魔め」
なんか察したんだろう、すげー配慮した返したな。コイツただの女装癖なのにな。
「てか、初対面の人そんなこと人に言うな」
ほら、またクラスから陰口言われているぞお前。
そんなことを考えていたら、唐突に、
そういやあの時のちゃんと謝っていなかったな。
と思いだした。
「そういやさっきは、ごめん。遅刻しそうでさ、なんでもするからゆるして」
「え? 、ちょ、急に!?」
俺も思った。けどタイミング逃してしまうよりかはましだ。
「えーっとさ、さっき、曲がり角であった時も言った通り私は別に、気にしては……」
「そうだそうだー。謝らなくていいぞ」
後ろで、ガヤガヤ聞こえたが今は気にしない。それよりもこれ、許してもらえそうか?
そう考えているのに気づいたのか、彼女の顔はまるで悪魔の様に三日月上に、にやりと笑う。
「たしか言い分は「遅刻しそう」でしたね。でもどーしようかしら」
ん? 空気が変わったな。ちょ、怖いんだけど。何でもとか言わなければよかった。
今どきの女子のことだ。窓からワンチャンとか言われるかもしれない。
「なんでもするっていうのなら……」
頼む。出来る範囲で、
「今日のお昼休み学校の案内お願いします。なんでこんなに心の底から安堵しているんですか?」
「命があって助かった……」
「今から変えましょうか?」
「いえ、このままでお願いします」
後ろでアノオンナコロスとか呪詛が聞こえるけど、
まあ、無茶ぶりじゃないからよし。
「というわけだ。なんでお前がいるんだ?」
「二人きりになんてさせるわけないだろ」
『別に二人いたほうが効率いいだろ』
「本音と建前が逆だぞ」
「二人は仲いいんだね」
「まあ、愛し合ってるしな」
まあな。と言おうとしたら、コイツとんでもない爆弾落としやがった。
言わないでよかった。
「は?」
「別に俺らそんなじゃないだろ。こいつとは、ただの親友ですよ親友」
あれ? 今、は? って聞こえたような。
「それならいいけど……」
「ちっ」
おい舌打ちしたな今。
そういおうとしたら、
「おっ、着いたぞ。まずは最初にここだ」
そういって俺たち二人が見る。
「ここが保健室だ」
グーで殴る
「グーで殴るなんて痛いなあ」
胸ぐらをつかむ
「そりゃそうだろ、しょっぱな行くとこかよ。ひいてるぞ」
「でも悪くないな」
「聞けよ。二発目行くか?」
「待て、保健室は覚えていたほうがいいだろ。怪我したときとかさ」
「確かにそうだが……「というわけで」
「ここが女子更衣室だ」
グーで殴る。
「お前もう帰れ」
咲耶離脱。
「というわけでここまでが主要の教室全部だ」
「ありがとう。だいたい把握できたよ」
「そりゃあよかったよ。じゃあ、教室に戻ろうか」
「わかった」
「……」
「……」
カツカツと二人で静かに淡々と階段を上る。
「……」
「……」
んー今日は、無理やり駆け上がったせいで太ももが痛いな。てか最近ずっと、走りっぱなしだったしな。
「……」
「……」
やっぱり、教室が三階にあるのはつらいもんだ。
「……」
「……」
……
「……」
「……」
……やっべ。どうしよう。
『気まずい』
「「えっと」」
嘘でしょ……
「……先どうぞ」
「じゃあ、お先に。咲耶さんのことなんだけど」
「ああ……。あいつはその……、いつもこんなだよ。俺が女子と話してると、いつも邪魔してくるんだ。まあ、その、滅茶苦茶苦労かけてしまうと思うけどこっちからは言っとくからさ」
「あ、いえ、そっちじゃなくて」
「?」
「お二人は付き合っているのですか?」
「ぶっ!!!」
びっくりした。いや、はたから見たらそう見えるのか? とにかく、反論しないと。
「ちょ、いや、まだそんな関係じゃないよ」
「まだ?」
「それに俺は好きな人いるし」
「そうなんですか。ちなみにその人はどんな人ですか?」
「それはな……」
続きを言おうとしたら、ふと、フード被った人間とすれ違う。
「!?」
ただそいつは……
「ん? どうしたの?」
「いや、今窓の向こう側に人が!?」
いない……
どういうことか考えていたら、
ガシャーン!!!
とでかい音と一緒にガラスが踊る。
「マズイ!!!」
急いで、彼女をかばう。
「っ」
いってえ。
「ちょ、大丈「和也!!! 大丈夫か」
「まあ、なんとかな。ちょっとかすった「ちょっと今の音、和也君!?」
やっば……
「いや、ちょっと割れちゃって、あ、自分らは何もしてないからで!?」
急に明日野先生が、腕をつかむ。
「こんなきれいにかすっちゃって……、血も出てるじゃない……。……それに、窓も割れて……。ああとで三人には話聞かせてもらうから」
「ちょ、ほんとに関係」
「いい?」
「「「……はーい」」」
……これは、
「黒い血……悪魔の血か」
窓ガラスに付着する黒い血を見つける。
カズヤのこと、誰かが狙っている?
72のうちのどいつだ?
拳を握り、ドスの効いた声でしゃべる。
「させるかよ」
放課後。
一人歩く帰り道。
「クソ、あの二人逃げやがった」
『じゃ、調べることあるから』
『両親が迎えに来たそうで……ごめんなさい』
そんなことを思い出しながら、とぼとぼと一人歩く帰り道。ほんわかなみんなに会いてえなあ。そんなやつはいねーけど。それにしても、キレられ損だな俺。帰ればよ、いや明日が怖いからいいや。
まあ、あいつらは明日怒られるだろうからヨシと思っておこう。理不尽に俺だけ怒られるなんてそんなことは起こらないだろう。
?
気配を感じ急いで振り返る。だが、だれもいない。
まあ、イライラして神経質になってるんだろう。
漫画でも読んで気分紛らわせるかな。ん?
「え? 空いてる?」
あの時急いでいたとはいえ、……鍵かけて家出たよな……。
ぞっとした。
恐る恐るドアを開ける。
誰か出てきたらどうしよう……
「あ、おかえりー」
────────────声するじゃん
女の声、全く聞き覚えの無い。
どたどたと足音が近づいてくる。
ええい、ままよ。
扉を全部開ける。
しかし出てきたのは意外な人物だった。
「ごはんにする? おふろにする? それともわたし?」
???
「え?」
「さ、どれ選ぶの?」
いや、これは、
おもちゃの指輪がついたネックレス。そして、黒いシスター服に赤い髪の姿をし、
特徴的な角としっぽの生えた、どこからどう見ても、悪魔だった。
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