読み切り短編。少しだけ非日常に足突っ込んでる俺が、好きな悪魔と再会した件。

金髪幼女ロリ

第1話


 10年前。


 夕方時。赤髪の少女と黒髪の少年が地面に座って語り合う。


 この場所は山奥にある最近廃墟になった場所。


 いや、廃墟にしたが正しい場所だ。


「嘘だよね……。実家に帰るって」


「……本当なんだ」


 そんな。いやだなあ……ここからいなくなるなんて。


 いや、でも、わかってたことだ。彼は人間。私は悪魔。覚悟していなかった私が悪い。


「でも、絶対に会えないわけじゃないから。ただ、引っ越すだから、だから……」


 夕方。ひぐらしのなく頃。


「おーい和也―」


 クラクションの音とともに、男性の声が聞こえた。


 嫌な男。


 とどめを刺された気分だ。


「神作さん。ちょっとまって!!! ……ごめんね。もっと……、もっと一緒にいたかったけど、でも、行かないとだから」


「あっ」


 行ってしまう。私とは違うところに。


 私は勇気を出して大声を出す。


「まって!!! カズヤ君……」


 私は大声を出して、呼び止めた。


「〇〇〇ちゃん……」


「これ」


 私は彼にあるものを渡す。


「これは……指輪?」


「受け取って。まだこんなものだけど、……おもちゃの指輪だけど……ちゃんと、ちゃんと渡すから。だから」


「……それまで大切にしてる」


「……うん」


 そういって。


「っ」


 バチバチと光る結界をみる。


「……絶対会いに行くから、待っててね」


 赤黒く傷ついた手を見てそう誓った。







































「はっ、はっ、はっ、はっ」


 走る。


 止まったら死ぬ。


「きりきりきりきり」


 鋏らしき物を持って追いかける化け物、


「くそ、くそ!!!」


 早すぎる。


 走らねえと。


 しかし、不幸にも俺の足が、


「がああっ」


 ここ毎日同じシチュエーションが続いたせいで動かなくなったようだ。


 でも、それと同時に、


「finis. Angeli inhabitare facit unius moris.〈大丈夫。天使は私たちを祝福してくれる

 〉」


 放たれた矢から光を放出し、化け物は粉々に消し飛んだ。


 自分のつかえなさを呪いながらつぶやく。


「ああ。俺は、助かったみたいだ」

















 ジリリリリりりりとうるさい音が鳴る。


 何だっけこの音? 


 ああ。携帯のアラームか……


 …………アラーム? 


 携帯を付ける。


 08:15


 HR開始08:45


 HR開始まであと30分


「……う、うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


 ダッシュダッシュ猛ダッシュ。急いで台所に向かう


「咲耶あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!! ……あ?」


 ……って? あれ? だれもいない……


 ふと、テーブルにぽつりと置いてある紙を見つける


 ? 


 置手紙か。どれどれ? 


『先に行くね。朝飯はフレンチトースト焼いといたから。PS.私は起こしたよ。咲耶』


「お、置いて行かれた……」


 そういって歯を磨く俺の名前は佐野和也普通で平穏を望む高校生だ。ってんなこったどうだっていい。


「がーっぺ」


 うがいをした俺は急いで二階に戻り、制服に着替え、急いで駆け降りる。


「行ってきまーすって誰もいねえか」


 そういって、スマホを見る。


「8時半!? 急がねえと」


 鍵を閉めてフレンチトーストを口にくわえる。


 後は走るだけ。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


 気合と根性!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 


 フレンチトーストを食べながらこころの中で思いっきり叫ぶ。


 根性うううううおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!! 


 って、


 走ったままの勢いで学校前の曲がり角を曲がると、綺麗で艶やかな赤黒色の短髪を靡かせた少女が目の前の立っていた。


「危ない!!!」


「ふぇ? びゃあっ!!!」


 ぶつかる。


「ちょ、ごめん。だいじょうぶか!?」


 転びかけてることに気づかず、急いで手を伸ばす俺。だが彼女は立っていたようだ。


「ええ。大丈夫ですよ。そっちは……大丈夫みたいですね」


 転びかけた俺の手をつかんでくれたようで、お互いが立っていた。


「ありがとうございます。いやーそっちも、怪我とかなさそうだしほんと、よかったあ……」


 ほんと、女の子怪我させたとか今のご時世問題だしな……ってあれ? 


 急いでスマホを取り出す。


 今は何j……


「っげ!? もうこんな時間!?」


 急いで手を離す。


「ちょ、ごめん。急いでるから」


「え!?」


 まずいまずいまずいまずいまずいまずい!!! 


 走る。気持ち弾丸より速く。


「遅刻しちまうううううううううううううううう!!!!!」

























 あの時


 手に触れたとき確信した


 あれは彼だと


 ああ


 長かったなあ


 この10年間


「やっと見つけたよ。カーズヤ」


























「ギリギリセ────────―フ!!!!!!!!!!」


 バーンと勢いよくドアを開ける。すると、目の前には


「ほんとにね。明日野先生来てたらアウトだったよ和也」


「ああ。そうだな」


 幼馴染がいた。こいつは、汐聖咲耶。茶色のセミショートがトレードマークのやつだ。


 こいつの家は教会で、父親がやってる悪魔祓いの仕事を手伝いながら、俺の面倒も見てくれてる。


 普段はいいやつだ。


 時間は8時47分。本来だったら遅刻だったが幸い先生がいないみたいだった。ほんとに危なかった……


「てか、咲耶。元はといえば、お前が置いていくのが悪いだろ」


「もう、人のせいにしないでよ。私はちゃんと起こしたよ」


「むう。納得いかない。俺はなあ、昨日の帰り道いつもながら変な悪魔に襲われて、死にかけたって言うのに……」


「悪魔は私が、殺したでしょ。言い訳しない」


 いや、まあそうだけどさ。


「ぶー。はーい俺が、悪かったよ」


「全く」


 そう、言い争っていると、ガラガラと扉の開く音がした。


「はいじゃあ、ホームルーム始めるよー。みんな席について―」


「っと不味い」


「和也席につこ」


「そうだな。咲耶」


「……よし、全員いるわね。遅刻も無し。満点花丸。それじゃあ、ホームルームを始めるわ」


 よかった遅刻したことはばれていないみたいだ。


「まずは最初に転校生だね。入ってきてー」


「はい」


 あれ? この声……昔どこかで……


「和也? どうしたんだい? 耳鳴り?」


「いやまさかな」


 気のせいだろ。


「?」


「じゃあ、入って」


 そういってこの教室に入ってきた、人は、


「私は、ティアラ―ペネロといいます。隣町から来ました。よろしくお願いします」


 さっき曲がり角でぶつかった少女だった。

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