第5話 軽いあいさつ

「加奈ー早く起きなさい、早紀ちゃん来てるわよ」


 なに、早紀が来てる?そんなわけがない、私は昨日早く寝たし、まだ六時なはず、そう思いながら、時計を見るとなんと……。


「って、は、八時!やばいやばい、急げ―急げ―」


 時計を見てからはとんでもない速度で準備をする、洗面所で顔を爆速で洗い、髪を整え、歯を磨く、そして、自分の部屋に戻って、制服に着替える、この間僅か五分。


「加奈ー、そんなに、急がなくてもまだ間に合うよー」


 早紀はそういって、心配してくれるが、今日はどうしても早くいかなければならないのだ、他の生徒にとってはどうでもいいことかもしれないが、今日は何と軽井先生が、校門で挨拶をしているのだ。当番制らしいのだが、めんどくさがりなのか、8時40分までやらなきゃいけない仕事なのだが、軽井先生は、10分はやく上がってしまうのだ、だから、30分には着かなくてはならない。


「早紀、もう行くよ!お母さん、ご飯は要らない!行ってきまーす」


 なんとか、15分に出れた、ここから学校まで10分、間に合う、やった!朝から軽井先生に会える。


「おばさん、それ、持って行くので、ください」

『ごめんね、早紀ちゃん』

「いいですよ、慣れっこなので」

——―——―——―—――——―――――——――学校につく

「はぁ、はぁ、せ、せんせい、挨拶するためにめっちゃ急いできたよ!」


「お?加奈さん、おはよう、遅刻しないようにねー」


 え、そ、それだけ、こんなに必死に急いできたのに、軽すぎだよ、あぁ、ダメ、お腹すいて、力が。もうダメ、倒れる。


「おっと、危ない」

『加奈―加奈——――』


——――――——――――――――――

 目が覚めると、見知らぬ天井だった、あ、そっか、私倒れて、それで、どうして


「あ、加奈さん、起きた?」


「え、れ、れんちゃん!どうして」


「あいさつの後、加奈さんが倒れて、それで、保健室に連れてった方いいってなって、ここまで連れてきた、養護教諭の先生、いま忙しいらしいから、俺が代わりに見てるの」


 どうやら、本当に自分は倒れたらしい、その場にいた軽井先生が助けて、ここまで連れてきたってことか、迷惑かけちゃったかな、謝らなきゃ。


「あの、また、迷惑かけてすみません。助けてくれてありがとうございます」


「え、あー、そっかほんとに気絶してたんだ」


 ん?それはどうゆうことだろう、気絶はしていたが、少し疑問になっていると、先生が近くに座って話す。


「その言葉、全部、早紀さんに言いなよ、倒れそうになったとこを助けたのも、ここまで運んだのも、全部早紀さん、『先生は男の人なので触らせられません』って、めっちゃいい子を友達に持ったね」


 そうだ、自分は、早紀に助けられたんだ、朝、一人で、突っ走っていった私にちゃんとついてきて、振り回しちゃったのに、助けてくれたんだ。早紀にいっつも迷惑かけてたんだ。


「あんなにいい友達なかなか持てるもんじゃないよ、始業ギリギリまで、ここにいて見守ってたし」


 あぁ、駄目だ私、先生先生って、親友なのに、疎かにしちゃってた、いっつも、助けられてばっかだ私、それなのに私の事大事に思ってくれてる、私も大事にしないと。そう思う。最近はなにかといっぱい考えさせられる。


「あ、おなかすいて、倒れたんだっけ?」


「な、なんで、知ってるんですか!」


「いいから、はいこれ、早紀さんが、『起きたらきっと、お腹すいたって言うので、これを渡してください』って」


「これって」


 先生がある包みを加奈に渡す、開けてみると中には、お弁当が2つ入ってた、一つは、お母さんが作ってくれたお昼の弁当、もう一つは。


「これ、早紀の手作りお弁当…」


「え、すご、早紀さんってもう、加奈さんのお母さんか何かなの?」


 先生は、お母さんって言ったけど、私にとってはやっぱり親友で、世界で一番大事で大好きな人なのだ。


「ありがとう。早紀」


——――――——――――——―


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