第5話 接待ステーキ

「わかる?」


「うん。30年経てばね」


「うふふwそうだねwせっかく作っても食べないもん」


「そうだなぁ」


「おにいちゃん何食べたの?」


「今日はステーキ」


「わお」


「食べたくもないステーキ。ある意味拷問だからね、おまえ」


「なんで?」


「食べたくないステーキ」


「でも味はいいんでしょ?味は」


「まぁな、肉だからな」


「うん。あの方が?」


「あの方が」


「食べたいって?」


「うん。マツタケの土瓶蒸しと」


「土瓶蒸しと・・・うんうん。え?あの方はさ、いつもさ、いっつもいっつもこれ食べたい、アレ食べたいって、いっつもリクエストするの?」


「いっつもだよ」


「いっつも!?」


「いっつもだよ。100あったら100。千あったら千。1億あったら1億。1兆あったら1兆」


「どういうこと!?ってことは考えてるの?」


「何が?食べるもの?」


「うん」


「ものすごいよ。だから同じ所ずーっと行く」


「あ、気に入ったら?」


「同じ店、同じメニューをずっと頼む」


「名古屋のここに行くんだったらここの店のこれっていう?」


「そうそうそう」


「うわ~~」


「うわ~~。たまんね~」


「ああ、そういうことね」


「たまんね~な~」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る