第2話 わたしの彼氏、超イケメンじゃね?
昼休み――人の少ない図書室で、わたしはレミと一緒に居た。
今度、わたしが描く予定の同人誌のシナリオについて話しをするためだ。
すると――
「やっぱり、ここに居た」
ルカ君がやって来た――いや、それ自体は特別な事ではない。
彼が母親に買い物を頼まれて――手伝って欲しい――と頼みに来る場合もある。
ただ、友達と一緒に――という状況は珍しかった。
突然の出来事に、すっかり油断していたレミは慌ててノートを
(必死だ――)
そりゃ、男子には見せられないよね。
ルカ君はそういうの、理解がある方で助かる。
「どうしたの? ルカ君……わたしと結婚する?」
「いや、あの――」
少し顔が赤い。照れているようだ。
だが、安心して欲しい――ボケたわたしも恥ずかしいのだ!
ルカ君を連行してきた友達の名前は――確か……いや、思い出せん!
仮に『友人X』としておこう。
「今度、一緒に映画に行かない?」
とは友人X。
「え、嫌だけど……」
わたしの回答に――即答かよ!――と友人Xはコケる演技をする。
中々に面白い奴だったようだ。友人XXに昇格してやろう。
友人XXはルカ君を
ルカ君は仕方が無いといった表情で、
「ほら、ユズが――興味がある――って言っていたアニメの映画の割引券がはっ!」
友人XXは
おい、テメェ……今直ぐ、その手を離せ! 土曜日朝六時からの放送にするぞ!
「正直に言ってどうする!――タダ券があると言え!」
何だかグダグダな誘い方だな――だが、タダなら一考しようじゃあないか。
「詳しく聞こう」
現金なわたしは即答する。
「タケルがクサカさんと仲良くなりたいからって、
解放されたルカ君が耳打ちで教えてくれる。
どうやら、友人XXの名前はタケルというらしい。
因みに、レミの名前は『
それよりも――ほほう、面白そうだな。
(だけど……まずはレミのタケルに対する印象を確認するのが先よね)
「どうしたの、ユズっち?」
「ルカ君がどうしても、このわたしとデートしたいらしい!」
何言ってんの⁉――と顔を赤くして
瞳を輝かせ、口元を両手で
お前の彼女、話が分かるぜ!――指を鳴らすタケル。
三者三様の反応だ――この様子なら、十分に楽しめそうだな。
この時のわたしは深く考える事はせず、ただただ、悪乗りしていたに過ぎない。
▼▲▼ ▼▲▼
「何で、あんな事……言うのさ?」
別にいいんだけど――とルカ君。
(いいのなら、
まぁ、調子に乗ってしまった自覚はあるので、謝る事に抵抗はない。
(これはまだ、二人きりにする訳には行きませんな)
「えーっ、ルカ君はわたしの事……嫌いなの?」
何だよ、それ――ルカ君は笑った。
いや、別に変顔した訳ではないですよ。
お兄ちゃんならイチコロなのに――どうやら、ルカ君には通じないようだ。
放課後――スーパーでわたし達はそんな会話をしていた。
わたしが夕飯の材料を買うと言ったら――持つよ――とルカ君がついてきてくれたのだ。いつも、重たい荷物は彼が持ってくれる。
ただ、ルカ君からすると普通の事かも知れない。
母親から頼まれたから、仕方なく面倒を見ているだけだよ――とか言われたらショックだ。
しかし――
「嫌いじゃないから……困ってるんだけどね」
その言葉に、リンゴを取ろうとしていたわたしの手が止まった。
紅い、紅い、真っ紅なリンゴだ。
「じゃあ、付き合って……みる?」
わたしは何を言っているのだろうか?
こういう事は男子の方から言わせる派なのに――いやいや、違うから!
一番の問題は――気不味くなっちゃうでしょ!――という事だ。
「ゴメン」
ほら、ダメだった。どうするの? どうするの? わたし⁉
明日から一人で登校だよ……目の前が一瞬、真っ暗になる。
「本当は、ボクの方から言うつもりだったんだけど――」
あら?
「
あらあらあら?――いやいや、混乱している場合じゃない。
そう言って、ルカ君が差し出した手を……わたしは取った。
不思議だ――っていうか、何コレ? 超嬉しいんですけど!
「よ、よろしくお願いします」
(
内心、テンションはかなり高くなっているのに――恥ずかしさで、上手く言葉が出ない。
彼氏が出来るってこういう事なのか⁉
場所がスーパーの野菜売り場なんですけど――いいの? ねぇ、いいの?
(いや、誰に
「こちらこそ、よろしく」
そう言って微笑んだルカ君の顔は輝いて見えた。
確かに――普段から
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