第2話 手や腕を知ろう(単語解答)

 まず「手」と「腕」の違いです。

 これは手首よりも先を「手」と呼び、肩より先を「腕」と呼びます。

 ちなみに「腕」には「手」も含まれています。

 簡単でしたよね。

 「うで」「かいな」「上肢ジョウシ」が「腕」を指しています。

 「かいな」は相撲や柔道など格闘技系で用います。「上肢ジョウシ」は両手両足を指す「四肢シシ」に対応した言葉です。



 右手みぎてを「右手めて」「馬手めて」「右腕みぎうで」「右腕ウワン」とも書きます。

 左手ひだりてを「左手ゆんで」「弓手ゆんで」「左腕ひだりうで」「左腕サワン」とも書きます。

 「めて」「ゆんで」は古語なので、一般的には「みぎて」「ひだりて」でよいでしょう。


 片手・片腕を失っている状態を「隻手セキシュ」「隻腕セキワン」と呼びます。失った手の代わりに作った人工の手が「義手ギシュ」ですね。

 「隻腕」は『ONE PIECE』にも出てきますので知っている方が多いですよね。




 「肩」は付け根に近い部分を「肩口かたぐち」「肩先かたさき」、上の方を「かたがしら」と呼びます。

 肩の格好が「肩付き」で、下がっているのを「がた」、角ばっているのを「いかがた」「かた」と書きます。

 球を遠くまで投げられるのは「強肩キョウケン」で、四十代五十代に起こる肩関節の痛みが「四十肩」「五十肩」です。

 単に肩の筋肉がこわばったりだるかったりするのを「かたり」と呼びます。




 「前腕」と「上腕」について。


 肩から肘までを「上腕」と呼び、肘から手首までを「前腕」と呼びます。

 そして「上腕二頭筋」の言葉があるように「力こぶ」を出す「二の腕」は「上腕」のことです。「上膊ジョウハク」とも呼びますが一般的な漢字ではないので基本は「上腕」か「二の腕」を使いましょう。


 「一の腕」という言葉もあるにはあるのですが、古語でありしかも指しているのは「二の腕」同様「上腕」なので、今は「二の腕」に統一されています。

 ちょっと引っかけ問題でしたね。


 ちなみに「前腕」のことを「前膊ゼンパク」とも呼びますが「ジョウハク」とともに一般的な漢字ではないので基本は「前腕」でよいでしょう。剣道のときは「小手こて」とも呼びます。


 「手首てくび」には他に「腕首うでくび」という呼び方もありますがあまり一般的ではありません。




 「肘の反対側」は「肘の内側」と呼びます。

 「ひじ」には「ひじ」「ひじ」「ひじ」の字が当てられますが、一般的には「肘」の字を用います。ただこれでも漢字が難しいのでかなで「ひじ」と書くのも一般的です。


 「肩の反対側」は肩の内側ではなく「わき」と呼びます。

 「わき」は他に「わきの下」「腋窩エキカ(わきのくぼんだ部分)」とも書きます。「腋の下の汗」のように使いますよね。


 ちなみに「腋」は「肩の内側」の「腋毛わきげ」が生えて「腋臭わきが」を発する人体の部位を表します。

 「わき」は「横側」を意味していて、胸部の横で上腕に挟まれた空間を指す言葉です。「腋」の字が一般ではないので常用の「脇」に置き換える方もおります。

 しかし漢字によって指している場所が異なるため、「腋」の代わりはかなで「わき」「ワキ」と書いたほうがよいでしょう。


 「脇」の意味合いがわかれば「小脇に抱える」が「腋」に挟むではなく「胸部の横に抱える」意だとわかりますよね。




 手のひらには「ひら」「てのひら」「たなごころ」「おくぼ」の語彙がありますが、「たなごころ」「おてのくぼ」はやや古語に含まれるので、ひねらず「てのひら」を使いましょう。

 手のひらにある「掌紋ショウモン」は指紋同様に個人差があります。掌紋でも個人を特定できるので、犯罪捜査で役立っています。ですので「掌紋で開く自動ドア」も存在しています。

 手のひらの手首に近い部分をとくに「掌底ショウテイ」と呼びます。中国拳法では掌底で発勁ハッケイする技がありますね。


 手のひらの裏側は「コウ」ですよね。




 指は一本を指す「一指イッシ」、片手の「五指ゴシ」、両手の「十指ジッシ」という呼び方があります。

 「ゆび」は親指・人差し指・中指の三本を指します。


 (1)第一指を「親指」と呼び、「拇指ボシ」「巨指キョシ」「大指おおゆび」とも書きます。中でも「拇指ボシ」は「母指」とも表記します。

 (2)第二指を「人差し指」と呼び、「食指ショクシ」「しおゆび」とも書きます。「食指が動く」は「人差し指」のことであり、「触手が動く」わけではありません。

 (3)第三指を「中指」と呼び、「高指たかゆび」「高高指たかたかゆび」「丈高指たけたかゆび」「長指チョウシ」とも書きます。

 (4)第四指を「薬指」と呼び、「無名指ムメイシ」「紅差べにさゆび」「紅付べにつゆび」とも書きます。

 (5)第五指を「小指」と呼び、「季指キシ」とも書きます。

 この五指については基本的に「親指、人差し指、中指、薬指、小指」と書いてください。

 他の表記では現代人には伝わりません。

 足の五指に関しては、医学的には「第○指」と書きますが、小説では「右足の小指」で問題ありません。


 指の先端を「指先ゆびさき」「指頭シトウ」「手先てさき」と呼びます。ただ「手先が器用」「手先がぶきっちょ」のようにしか使わないので一般的には「指先」でよいでしょう。

 指先にある「爪」の反対側は「指の腹」と呼び、そこに「指紋」があります。指紋は数万人にひとりの確率でしか一致せず、十指すべてが同じ人はそのパターンがすべて違うので個人の特定が可能です。


 指先に近い関節が「第一関節」、次が「第二関節」、指と手のひらをつなぐのが「人差し指の付け根」と呼ばれます。


 手を握りしめると「こぷし」「拳固ゲンコ」「拳骨ゲンコツ」「にぎこぶし」になり、とくに固い場合は「鉄拳テッケン」と呼びます。

 開いた手は「平手ひらて」と呼びます。平手打ちで使いますよね。

 「平手」の小指側をとくに「手刀シュトウ」「手刀てがたな」と呼びます。これで首筋を打ち据えたり武器を払い落としたりと格闘技でよく用いられますね。


 「霊丸の構え」と書くと『幽☆遊☆白書』のパクリですが、「拳を握って親指と人差指を立てた構え」と書けば、同じ形をパクらずに伝えられるはずです。




 他にもよく動くほうを指す「」「うで」、痩せて力のない腕を指す「細腕ほそうで」「うで」、女性の細くてしなやかな「繊手センシュ」という語彙もあります。




 ここに挙げた以外にも語彙はありますから、類語辞典を開いて、肩、腕、肘、手首、手、指にかかわる単語を読んでみましょう。



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