第46話

帰宅後あたしはすぐに体育館の幽霊について検索した。



都市伝説になっている幽霊は、体育館でバスケットボールを使っているようだ。



その姿はおぼろげだけれど、ユニフォームを着ているという。



「死んでからもバスケがしたかったんだろうなぁ」



写真を探しながらボソリと呟く。



そこであたしは実際にユニフォームをきている男の子の写真をスマホに保存した。



その存在を幽霊ぽくするため加工していく。



以前はこの加工アプリを使ったことがすぐにバレたけれど、実体化するのだから今度は誰にも気がつかれないだろう。



せっせと作業をしていると、ノドカからのメッセージが届いた。



今忙しいのにと、軽く舌打ちをする。



仕方なくメッセージを確認すると、コウダイくんに振られたと書かれていてあたしは手を止めた。



あの後、コウダイくんはすぐにノドカに連絡を取ってくれたようだ。



そうとわかると、とたんに顔がニヤけていく。



これであたしは完全にコウダイくんの彼女になれたのだ。



学校では人気者だし、外にはイケメンの彼氏がいる。



「最高じゃん!」



あたしはそう呟き、ノドカに慰めのメッセージを送っておいたのだった。


☆☆☆


翌日、学校へ行くとノドカは沈み込んでいた。



コウダイくんからメッセージが来なかっただけで眠れなくなっていたノドカのことだから、休んでいるかと思った。



「ちょっとノドカ、大丈夫?」



昨日メッセージを貰っていたので、一応声をかけた。



ノドカは真っ赤に充血した目をこちらへ向ける。



「ミキコ……」



ジワリと、ノドカの目に涙が浮かんできた。



「そんな状態なのにどうして学校へ来たの? 休めばよかったのに」



あたしは呆れて言った。



学校を休んでくれていた方が、あたしにとっても気楽でよかったのに。



「だって、1人で家にいたらどんどん涙が出てきちゃうんだもん」



ノドカはそう言って滲んできた涙をハンカチでぬぐった。



「でも、授業所じゃないんじゃない?」



「そうなんだけどね……」



ノドカはそう言うと沈み込んでしまった。



あたしはそんなノドカを見て肩をすくめ、自分の席へと向かったのだった。


☆☆☆


「ミキコ。今日の幽霊は!?」



いつも通りクラスメートが声をかけてきたけれど、あたしは曖昧な笑顔を浮かべた。



「ごめん、今日はちょっとやめておこうと思って」



「え、どうして?」



クラスメートはキョトンとした表情であたしを見つめる。



あたしはノドカへ視線を向けた。



「なんか朝から沈んでてさ、あんまり騒ぐのもなぁと思って」



「ノドカのことを心配してるの? でも、吉田さんがいなくなった日だって幽霊を見せてくれたじゃん」



その言葉に返事に困ってしまった。



今日幽霊を出現させたくないのは、もちろん放課後コウダイくんに見せてあげたいからだった。



1日に2体も3体も幽霊を出現させて、その度に演技をするのは面倒だった。



「ノドカとは、特別仲がいいからね」



あたしはそう言って、どうにかクラスメートに諦めてもらったのだった。

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