第45話

あたしは意を決してコウダイくんを見つめた。



こちらはリスクを背負うのだから、少しは見返りを求めてもいいと思う。



「わかった、いいよ」



「本当に!?」



「その変わり」



喜ぶコウダイくんへ真剣な表情を向ける。



「なに?」



あたしはスッと息を吸い込んだ、



勇気を出して口を開く。



「ノドカと別れて、あたしと付き合って」



少しだけ声が震えた。



自分がなにを言っているのか、自分でも信じられない気分だった。



だけど、ノドカへの不満をあれだけ聞いた後なのだ。



あたしにも勝算があるのではないかと踏んだのだ。



コウダイくんは驚いた様子であたしを見つめて、口をポカンと開けている。



やっぱり、ダメだったかな……。



いくら不満があると言っても、2人は付き合い始めたばかりなのだ。



そう簡単に別れるという選択はしないだろう。



諦めかけたその瞬間だった。



「いいよ」



コウダイくんのそんな声が聞こえてきあたしは「えっ?」と、聞き返した。



唖然としてコウダイくんを見つめると、満面の笑みを浮かべていた。



「いいって……あたしと付き合うこってこと?」



信じられなくて、そう聞く。



「うん。ノドカとはオカルトの話で盛り上がって付き合うことになったんだけど、あそこまで束縛してくるとは思わなかったしなぁ」



コウダイくんはノドカのことを思い出して渋い顔をする。



「それに比べてミキコちゃんはいい子そうだし、なにより本物の幽霊が見えるんだもんな。付き合うなら、全体にミキコちゃんの方がいいに決まってるよ」



その考え方は少し複雑だった。



コウダイくんはあたし自身を好きになって付き合うワケじゃない。



ノドカと比べてあたしの方がいいから、付き合う決意をしたのだ。



でも、文句は言っていられない。



あたしだってコウダイくんのことをなにも知らないまま、付き合うという条件を出したのだ。



「わかった。じゃあ、明日の放課後学校前まで来てくれる?」



「もちろん! 楽しみにしてるよ!」

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