第44話
これだけイケメンな彼氏だから、ノドカも必死だったのだろう。
でも、ノドカのやり方じゃコウダイくんには窮屈過ぎたんだ。
コウダイくんの口からはノドカへの不満がどんどん溢れだしてくる。
付き合い始めて間もないのに、こんなに不満がたまるなんてノドカはどんな態度でコウダイくんに接していたのだろう。
話しを聞くたびに、胸の中に苛立ちが生まれるのを感じた。
あたしならコウダイくんにこんな窮屈な思いはさせない。
もっと自由に、コウダイくんを信用して愛してあげることができる。
そんな気持ちになってきた。
「なんか、俺の話ばかりしてごめんね」
30分ほどノドカの悪口を言った後、我に返ったようにコウダイくんは頭をかいた。
「大丈夫だよ! あたしなら、いくらでも話を聞いてあげるから!」
「ありがとうミキコちゃん。ミキコちゃんに話したおかげで、ずいぶんスッキリしたよ」
そういうコウダイくんの表情はここへきたときよりも明るくなっていた。
「そろそろ本題に入る?」
「ん、あぁそうだった。俺、オカルトの話を聞きに来たんだった」
ここへ来た理由も忘れてしまっていたようだ。
そんなコウダイくんを可愛いと感じる。
「今日はコウダイくんにとっておきのものを見せてあげようと思ってきたの」
あたしはスマホをテーブルの上に置いた。
「なに? まさか心霊写真とか!?」
コウダイくんはキラキラと目を輝かせる。
「その通りだよ」
あたしはそう言い、今まで出現させてきた幽霊の写真をコウダイくんへ見せた。
どこにどんな幽霊を出現させたのか覚えておくために、写真撮影はしておいたのだ。
「すっげー! 本物の心霊写真なんて初めて見た!」
「そうなの? 雑誌とかで見たことないの?」
「オカルト系の雑誌はよく買うけど、本物かどうか怪しいじゃん? それに比べればこれは全部本物なんだろ?」
「そうだね」
あたしは笑顔で頷く。
「これは学校の七不思議がある場所で撮影したものなの」
「学校の七不思議って本物だったのか!?」
「学校によって違うと思うけどね。今のところ6つめまで実在してた」
あたしはついさっき撮影したばかりの井戸の写真を表示させて言った。
どの写真を見てもコウダイくんは食い入るように見つめている。
「七不思議の残りひとつはなに?」
「残りは体育館の幽霊だよ」
「あぁ! 放課後、誰もいない体育館でボールの音が聞こえてくるっていう!?」
「うん、それだよ! まだ霊視してないから本当かどうかわからないけど」
「でも、七不思議って全部体験すると死ぬって言われてないか?」
不意に、コウダイくんが真剣な表情になった。
どうやら本気で心配してくれているみたいだ。
「そうだね。でも、それも地域差があると思うよ?」
「そっか。今のところミキコちゃんは元気そうだもんな」
そう言われてあたしは頷いた。
7つ目を知ったところで、死ぬこともないけれど。
「よかったらさ、最後の体育館の幽霊を俺も見てみたいんだけど」
その申し出にあたしは目を見開いた。
「うちの学校に来るってこと?」
「ほんの少しだけでいいんだ! 本物の幽霊を見てみたいんだよ! 頼むよ!」
コウダイくんはテーブルに頭をこすりつけるようにして言う。
「ちょっと、頭を上げてよ」
あたしは慌ててコウダイくんの肩を叩く。
学校に誰もいない時間を見計らって行けば、コウダイくんに幽霊を見せてあげることはできる。
問題は体育館の鍵だった。
でもそれは日中にこっそり持ち出して近くのホームセンターで合鍵を作ってもらえばどうにかなる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます