第26話
☆☆☆
「昨日言ってたことってこれだったんだね」
2時間目が終わったころ、あたしとノドカの2人はグラウンドへ来ていた。
あたしはノドカの質問に返事をせず、スマホを取り出す。
昨日みつけた写真を具現化アプリにアップロードしていく。
「げっ。こんなに大人数なの?」
写真を見たノドカが青ざめる。
見つけた写真は日本で最も有名な暴走族グループのものだったようで、写真に写っているだけでも100人くらいはいる。
「そうだよ」
「さすがにヤバいんじゃないの?」
「なにかあったら、あたしを信用しなかった先生が悪いんだよ」
あたしはそう言い、暴走族を出現させたのだった……。
☆☆☆
A組へ戻るとすでに教室内は騒然としていた。
突如グラウンドに現れた暴走族にみんなくぎ付けになっている。
「ミキコ! ミキコが言ってた通りだったよ!」
窓からグラウンドを見ていたクラスメートが駆け寄ってくる。
「だから言ったのに」
あたしは自分で出現させた暴走族を確認してほくそ笑む。
「今、先生たちが外に出ていった!」
男子生徒が声を張り上げながら教室へ入ってきた。
先生に報告しにいっていたようだ。
「先生たちだけじゃどうにもらなないよ……」
弱々しい声で言ったのはリサだった。
リサとマナミも顔色が悪くなっている。
幽霊よりも暴走族のほうがよっぽど現実的だからかもしれない。
「もう何人かが学校の中に入ってきたって! どうするの!?」
「ミキコ、どうにかしてよ!」
「え?」
突然話をふられてあたしは目を見開いた。
「そうだよ! 予知夢を見るくらいなんだから、どうすれば助かるかわかるよね!?」
「それは……」
そんなのわかるわけない。
そう言いたかったが、言えなかった。
「頼むよ飯田!」
あまり仲良くない男子生徒まであたしにすがりついてくる。
「ちょっと、やめてよ」
必死なクラスメートたちは目の色を変えてあたしに詰め寄ってくる。
逃げている間にあっという間に教室後方に追い詰められていた。
助けを求めてノドカを探すが、こんな時に限ってどこにいるのかわからない。
「助けてよミキコ!」
「俺たち、どこから逃げればいいんだよ!?」
「えっと、えっと……」
答えに窮していたその時だった。
遠くからパトカーの音が聞こえてきて、クラスメートたちは一斉に窓へと視線を向けた。
「パトカーだ!」
「先生が通報してくれたんだ!」
「よかった、これで助かる!」
その姿にホッとした時だった。
「さっきは危なかったね」
と、声を掛けられて振り向いた。
いつの間にか近くにノドカが立っている。
その顔は少しだけ笑っているように見えて、ムッとした。
「どこに行ってたの」
「どこって、教室の隅っこに逃げてたんだよ」
「あたしが困ってるの見てたんでしょう? どうして助けてくれないの?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます