第25話

翌日はとても天気がいい日で、お母さんは朝から吉田さんのことを心配していた。



吉田さんのご両親はクラスメートひとりひとりの家に電話をかけて、なにか情報がないか集めているみたいだ。



あたしの家にも電話があったみたいだけれど、お母さんが『お力になれなくてすみません』と、断ったらしい。



まぁ、あたしに聞かれたって本当のことは言わないけどね。



あたしは鼻歌交じりに学校へ向かう。



A組へ入るとさっそく沢山の友達があたしを取り囲む。



中にはあたしに気に入られようとしてお菓子を差し出してくる子もいる。



「今度あたしのご先祖様を見てほしいの!」



「あたしは死んだコロちゃんと話がしたい」



「最近眠れなくて……もしかして幽霊のせいじゃないかな!?」



次から次へとあたしを頼りにしているクラスメートたちが声をかけてくる。



あたしは適当にあしらいながらもらったチョコレートを口に入れる。



霊能力者はこうやってお金儲けをしているのかなぁなんて考えていると、担任の先生が教室に入ってきた。



「じゃ、また後で話聞いてよね!」



クラスメートたちは名残惜しそうにあたしから離れていく。



先生は真剣な表情を浮かべてクラスを見回した。



「吉田さんはまだ見つかりません」



吉田さんがいなくなってから、朝のホームルームも夜のホームルームも、必ず同じことを言うようになった。



みんなの顔を見回しながら言うのもだから、まるで生徒たちの中に吉田さん失踪の犯人がいると言っているような雰囲気だ。



その視線があたしとぶつかった。



一瞬すべてを見透かされているような気がして怯える。



しかし、先生はすぐにあたしから視線をそらした。



心配する必要なんてない。



あたしのやったことは誰も知らないんだから、堂々としていればいいんだ。



あたしは背筋を伸ばして先生を見つめた。



そして真っすぐ右手を上げる。



「飯田、どうした?」



「先生、今日学校の暴走族が来ますよ」



突然のあたしの言葉に先生はキョトンとした表情を浮かべる。



一番に反応したのはノドカだった。



「どうしてそんなことがわかるの?」



「わかるよ。みんなも、あたしの力は知ってるよね?」



教室内を見回すと、大半の子たちが大きく頷いていた。



「昨日の夜夢を見たんです。沢山の暴走族が学校に押し入ってくる夢です」



「それはただの夢だろう」



先生は呆れた表情になって言った。



「でも、キミコの話は本物だと思う!」



クラスメートが声を上げる。



「あたしもそう思う!」



「きっと予知夢だったんだよ!」



一瞬にしてA組の中はざわめきに包まれた。



あたしはその様子を眺めてほほ笑む。



「なにを言ってるんだお前たちは。中学生にもなって」



先生はまだあたしの言葉を信じていないようで、そのまま教室を出ていこうとする。



咄嗟にあたしは「知りませんよ?」と、声をかけていた。



教室を出ようとしていた先生が立ちどまり、振り返る。



「はぁ?」



「暴走族は必ず来ます。その時にどうなっても知りませんよ?」



あたしの言葉に先生は驚いたように目を見開いた。



しかしなにも言わずに教室を出たのだった。

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