第24話
「ほ、本当にいた!」
「イヤアア! 目を開けた!」
「呪殺される!」
クラスメートたちは好き勝手に叫び声を上げて逃げ出す。
残ったのはあたしとノドカの2人だけだった。
みんなの足音が遠ざかっていくのを聞いた後、あたしとノドカは目を見かわせる。
と、同時にプッと吹きだした。
「さすがにこれは怖いよねぇ」
ノドカは顔をしかめて生首を見つめる。
自分たちが出現させたものだけれど、長く見ていると気分が悪くなってくる。
「これでみんなあたしのことを信用したよね」
「当然でしょ」
ノドカは楽しげな笑い声をあげる。
「明日はもっと楽しいことをしてあげるから、楽しみにしててね」
あたしはノドカへ向けてウインクして見せたのだった。
☆☆☆
自宅に戻ってさっそく明日の準備をしようと思っていたのだけれど、お母さんに呼びとめられてしまった。
「ちょっとミキコ。吉田さんは学校に来てたの?」
そう聞かれて、吉田さんのことなどすっかり忘れてしまっていたことに気がついた。
「ううん。来なかったよ」
あたしは答えながらリビングのテーブルに置かれていたクッキーに手を伸ばす。
「そうなの……」
お母さんは心配そうな表情になり、あたしを見つめる。
「そんなに心配しなくても、すぐに戻ってくるんじゃないの?」
「それならいいけど、もし事件に巻き込まれてたら……」
そこまで言って、あたしの顔をジッと見つめる。
一瞬ドキッとしてお母さんから視線をそらせた。
でも、お母さんはあのアプリの存在すら知らないのだ。
あたしが吉田さんを消してしまったなんて、考えるはずがない。
「ミキコになにかあったらと思うと心配で」
「なんだ、そんなことか」
呟き、ホッと息を吐きだした。
「あたしなら大丈夫だよ。行き帰りも友達と一緒だし」
「そうよね。でも、気を付けるに越したことはないから」
「わかってる。宿題があるから、もう行くね」
あたしはもう一枚クッキーを手に持ち、リビングから出た。
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よくやく自室へ戻ってきたあたしはさっそく明日のための画像を探し始めた。
幽霊ばかり出現させてきたけれど、今度は他のものを出現させてみようと考えたのだ。
ノドカが言っていた殺人犯の話を思い出したのだ。
さすがにそんな危険な人間を出現させるわけにはいかないけれど、インパクトのある人間を出現させるつもりでいた。
そして、その人が学校に現れることを予言してみせるのだ。
考えただけでワクワクする。
きっとまたみんなに注目されるだろう。
「ふふっ楽しみだなぁ」
あたしはスマホを操作しながら呟いたのだった。
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