第22話
休憩時間中、あたしとノドカは2人でトイレの個室に入っていた。
「この写真なんてどう?」
ノドカがスマホを見せてくる。
そこにはホラー映画のワンシーンが表示されていて、男の首が地面に転がっていた。
「うげっ……これ日本人じゃないからさすがにダメだよ」
脳みそがはみ出ている写真に思わず舌を出して答える。
「あ、そっか。そうだよね」
ノドカは頭をかいて笑う。
その時、ノドカのスマホが震えた。
「あっ」
小さな声で呟いたノドカの頬が、少しだけ赤く染まる。
「メッセージ?」
「うん。すぐ返信するから、ちょっと待ってね」
そう言うノドカはせわしなく指先を動かしている。
「ねぇ……もしかして、好きな人でもできた?」
あたしの質問にノドカは一瞬驚いたように目を見開き、そして頷いた。
「嘘、本当に!?」
「で、でもまだよくわからなくて……」
ノドカはモゴモゴと口の中で説明する。
「どんな人? 同じ学校?」
「ま、まだ好きかどうかもわからないから! それより、写真探さなきゃいけないでしょ」
ノドカはそう言うと、話題を学校の七不思議へと戻したのだった。
☆☆☆
5時間目が終わって休憩時間に入ったとき、あたしとノドカはまっすぐ校庭へと向かった。
幸い、今校庭を使っている生徒たちはいない。
「どの辺に出現させればいいかな……」
グランドを見回してみると、どこも目立つ。
6時間目にグラウンドを使うクラスがあればすぐに気がついて大騒ぎになりそうだ。
それはそれで面白そうだけど、今回はあたしが『あそこに見える!』と、証言する場面をクラスメートたちに見せたいと思っていた。
「もっと奥の方がよさそうだね」
ノドカは校舎裏へと歩いて行く。
前にマナミたちに呼び出された場所だ。
「ここでいいんじゃない?」
ジメジメとした校舎裏で立ち止まるノドカ。
「ここって前に呼び出された場所だよね?」
「だから余計にいいんじゃない? マナミたち、自分がどんな場所で何をしたのか知って、怖がると思うよ?」
ノドカの言葉に、マナミとリサの2人が怖がっている様子が目に浮かんでくる。
あたしはニヤリと笑って頷いた。
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