第21話
「え、そうなの!? 昨日はなにもなかったんじゃないの?」
「あまりに嫌な雰囲気だったから、黙ってたの」
「そうだったんだ。じゃあやっぱり吉田さんは連れていかれちゃったのかな……」
「そうかもしれない」
あたしはチラチラとノドカの反応を気にしながら頷く。
ノドカは目をパチクリさせてあたしを見ている。
「もしかして、今日もなにか感じるとか?」
「今日は特に……」
昨日のことがあったから、幽霊を出現させる準備だってしてこなかった。
「あたし、ひとつ気になる噂聞いちゃったんだ」
クラスメートがさらに話を掘り下げる。
「噂?」
ノドカが聞き返した。
「うん。この学校は昔処刑場だったっていう噂! 校庭の隅に首だけの男が現れるだって!」
「それならあたしも聞いたことある! この学校の七不思議のひとつだよね」
ノドカが興味津々と言った様子で食いついた。
「ねぇミキコ。その霊が本当にいるのかどうか、確認できないの?」
クラスメートにそう言われ、あたしはノドカへ視線を向けた。
ノドカはウインクをしてくる。
チャンスだと言っているみたいだ。
今日はそんな気分じゃないんだけれど、仕方がない。
学校の七不思議はすべて出現させるつもりでいたし、吉田さんの時のようなことをしなければいいだけだ。
あたしは自分にそう言い聞かせた。
「わかった。放課後確認してみるね」
あたしはクラスメートへ向けてそう言ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます