第4話
機嫌よく帰宅したあたしは、すぐに自分の部屋へ向かい、ベッドにあおむけに寝転んだ。
「さぁて、どんな写真を作ろうかなぁ?」
スマホを操作して加工アプリを表示させる。
そこにあらかじめ撮影しておいた教室風景をアップロードした。
あたしがダウンロードしている加工アプリは簡単に心霊写真が作れるというものだった。
やりすぎたらバレバレだから、できるだけ自然に見えるように加工しなきゃいけない。
白いモヤにしようかな?
窓の外に女の子が浮いているようにする?
考えれば考えるほど楽しくなる。
この写真を見せればきっとマナミやリサだってあたしの言うことを信用するようになる。
そうなると、クラスの人気ナンバーワンはあたしで決まりだ!
「明日の学校が楽しみ!」
写真に加工を終えたあたしは鼻歌交じりで、学校の準備をはじめたのだった。
☆☆☆
加工した写真を早くみんなに見てもらいたくて、いつもより10分も早く学校に到着してしまった。
「ミキコおはよう!」
A組の教室へ入った瞬間、クラスメートたちがあたしに駆け寄ってくる。
みんな怖い話が好きなのだ。
「昨日行ってた女の子ってまだいるの?」
「もういないよ」
「え、どうして?」
「えっとね……誰かについていっちゃったみたい」
さすがに『マナミについていった』とは言わなかった。
そんなことを言えば、オカルト好きな子たちはマナミについていってしまうかもしれないから。
「嘘、誰誰!?」
「こわぁい!!」
口々に噂をし始めるクラスメートたち。
あたしは一旦自分の席へ着くと、スマホを取り出した。
「それよりさ、昨日すごいものを撮影しちゃったの!」
雰囲気を出すために声を低くしてみんなに声をかける。
「すごいものってなに?」
一番に反応したのはやっぱりノドカだった。
ノドカは目をキラキラを輝かせてあたしを見ている。
「これだよ」
あたしは加工した写真をみんなに見せた。
「え、なにこれ」
ノドカが一瞬にして真剣な表情になり、写真をマジマジと見つめる。
「これってこの教室だよね? 窓のところが真っ白になってる!」
「本当だ……これって、昨日キミコが女の子がいるって言った場所だよね?」
「もしかしてこのモヤ、女の子の幽霊なの!?」
クラスメートの言葉にあたしは大きく頷く。
「そうだよ。やっぱりあの子はこの学校に未練を残して死んでいるの」
ノドカは両手で自分の体を抱きしめて身震いしている。
「そんなに強い念を持った幽霊が誰かについちゃったなんて……」
そう呟いてクラスメートたちへ視線を向けるノドカ。
「やだノドカ、怖いこと言わないでよ!」
「ミキコ、あたしについてるワケじゃないよね!?」
女子たちは途端にキャアキャアと騒ぎ合う。
「みんなじゃないから大丈夫だよ。それに、このクラスにはあたしがいるんだから、なにがあっても大丈夫!」
大口を叩いて胸を張る。
そもそも幽霊なんていないんだから、大丈夫に決まってるもん。
「さすがミキコ! 心霊写真まで撮れちゃうなんて、これはもう本物だね!」
ノドカが関心したように、大きな声で言う。
その声に反応した男子生徒たちが近付いてきた。
「心霊写真ってなんだよ?」
「すごいんだよ! 昨日ミキコが撮影したの!」
「まじで? 俺も見せて!」
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