要素2. 「見た目は子供・頭脳は大人」という一種の俺TUEEE要素

 「見た目は子供、頭脳は大人」の効果として大きいのは、大人であればごく普通の振る舞いであっても見た目が子供だと様になってしまう、というのがある。

 例えば、エリスが主人公に本を買ってあげようかと提案するシーンで主人公がお金の大切さとそのお金を稼ぐ大変さをエリスに説くが、これを大人が言ったのでは全く絵にならない。

 主人公の特殊スキルが炸裂したわけでもなく、普通の大人の常識で子供に説教したに過ぎない。そんなどこの家庭にでもありふれた光景であっても、これを子供がやるとなぜか絵になる。


 ちなみに『名探偵コナン』でも「見た目は子供・頭脳は大人」状態は常に作用しているが、コナンは事件解決の手柄を自分のものであることを常に打ち明けられないので、周囲から社会的承認の視線を得ることはできない。つまり水戸黄門のような痛快さは得られない。その点、『無職転生』では、「子供なのにすごいねー」的な視線を浴び続けることができ、これが作中の微弱な快楽として常に作用し続けている。この差は大きい。


 だから些細な事件解決でも絵になる。

 父親との喧嘩で論破するシーンは痛快感があったし、メイドの妊娠事件でうまく着地点に持っていたシーンも主人公すごい!となる。

 仮に子供ではなく、大人の主人公が同じことをやったとしたらどうなるかと想像すると、まあ少なくとも、主人公やるじゃん、とはならない。



 あと、子供だから性的視線が免罪される効果も大きい。

 この手のラノベ作品でよくあるスケベシーンの感触がいつもとは異なる。

 パンチラや胸を触るシーンの生々しさが、やっている行為の割にはかなり排除されてアクが抜けている感じがある。少なくとも、絵面としては6、7歳の少年が少女にイタズラしているレベルに留まっており、保護者が我が子の性への目覚めを微笑ましく見守る的な雰囲気で見れなくもない。

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