第3話 相談

帰り道拓也に話せなかった春、明日こそ話そうと心にきめた。


拓也はいつもより早く学校に登校してきた。

「おはよう裕也。」

「おはよう。今日は早いな?なんかあったか?」

「なんか早く目覚めちまって早く来た」

「そかそか」

「裕也……少し話したいことがあるんだけどいい

 か?」


教室のドアが開き春菜が入ってくる


「おはよう!たっくん!」

「あ……うん。おはよう」

「裕也また今度お願いしていい?」

「あーうん。いいけど」

「ありがと……」


拓也は自分の席に戻る。春菜が近づいてくる。


「たっくん、元気ないよ?大丈夫?」

「うん……大丈夫だよ。ありがと心配してくれて」

「あ、そうだ!今日たっくんの分のお弁当作ってき

 たんだ!」

「え?!本当に!今日は朝早く起きて弁当つくった

 んだけど家に忘れてきちゃった」

「楽しみにしててね」

「うん!」


少し遠くから春菜と拓也の会話を見ていた裕也は拓也の様子をみて少し不思議そうにしていた。



拓也が席に座っているところに誰かが近づいてくる


「たくや君……」

「ん?委員長?おはよう。どうしたの?」


彼女は僕のクラスの学級委員長をしている山下佳子だ。

とても真面目で誰にでも優しいクラスで人気な女の子だ。


「今日、放課後時間あるかな?」

「あるけど、どうかした?」

「少し話したいことがあって……」

「分かった。教室にいればいい?」

「うん。じゃーまた放課後」


春菜は委員長と拓也が話しているのを見ていた。


「たっくん、佳子ちゃんと何話してたの?」

「なんでもないよ……後今日はごめん一緒には帰れ

 ない。少し用事があってさ」

「分かった。じゃー明日は帰ろーね!」

「うん……ごめん……」


授業の始まりのチャイ厶がなる


「はーい。授業初めます。日直号令を」


〜昼食〜


「たっくんお昼食べよ!」

「うん!食べよ!作ってきてくれて本当にありが

 と!」

「味の保証はないからね」

「大丈夫だよ。春の料理はおいしいからね」

「お二人さん仲いいですなー」

「あ、裕也。別にそんなことないし」

「たくや、今日よる時間あるか?」

「んー多分大丈夫だと思うけどどうかした?」

「ちょっと聞きたいことがあってさ。夜、電話して

 いいか?」

「うん。いいけど」

「んじゃーまた」


裕也は拓也の肩を軽く叩いてその場から立ち去っていった。


「春、おいしかったよ!いいお嫁さんになるね」


春は顔を赤くしてご飯を頬張りはじめ照れて言った


「たっくんのバカ」


春菜と拓也の会話を見ていた佳子は、少し暗い顔でそれを見ていた。


〜放課後〜


「たくや君、おまたせ」

「いいよ、全然。で話って何?」

「ここでもなんだし、帰りながら話さない?」

「分かった」


2人は一緒に帰りはじめる


「たくや君って春菜さんと仲いいよね?」

「あー春は俺の幼なじみでさーまー言っちゃ変だけ

 ど妹みたいな存在なんだよ」

「妹か……」

「ん?どうした委員長?」

「いや、なんでもないよ……」

「そう?」


佳子は少し恥ずかしがりながら言った


「私も……私も……下の名前で呼んで欲しな……」

「え……委員長がいいならいいけど」

「え?!本当!じゃー佳子って言ってみて……」

「佳子……こんな感じでいいかな?」


佳子は顔を赤くしながら小さくうなずいた


「じゃー私は拓也って呼んでいいかな……」

「いいよ。佳子はこれを話したかったの?」

「んーちょっと違うけど今日はいいや!ありがと拓

 也話に付き合ってくれて」

「いいよ、じゃー俺こっちだから帰るね」

「うん!また明日!拓也!」

「また明日、佳子」


たまたま通りかかった春菜が佳子と拓也が話しているのを見てしまった。春菜は驚きを隠せずその場から立ち去り走っていった。



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