第154話 芸術劇場と小人さん むっつめ


「なんたること.....っ、これは由々しき事態ですぞ、国王陛下っ!」


 カストラート国王の前で懊悩に戦慄くのはアンドリュフ公爵。ヒュリアの実家であるハールベイ公爵家と対をなし、双璧に謳われる名門貴族だ。

 その横に座るのはオッドアーズ辺境伯。フロンティア西の荒野と隣接した領地を持ち、積極的にフロンティアの文化を取り入れる先見の明を持つ領主である。

 アンドリュフ公爵はカストラートでも保守派筆頭。王家のしきたりを重んじ変化を望まない御仁なため、今回の視察に同行させた。

 ヒュリアの実家は元々フロンティア寄りな政治的志向を持ち合わせていたので、説得の必要性はないとの判断から同行を見送らせる。

 知らぬ者に知らしめようと連れてきたのだが、思わぬアレコレに混乱気味の公爵閣下。それを静かに一瞥し、オッドアーズ伯がとつとつと言葉を紡いだ。


「フロンティアとは、こういう国です。前々から色々な文化を発信し、秘匿することなく恩恵を配ってきておられます」


 そう。以前、小人さんがカストラートを訪れた時に目撃した辺境の街の紙芝居。あれを輸入し、無償のボランティアで街を賑わせ、穏やかに統べているのがオッドアーズ辺境伯である。

 他にも料理のレシピや単価の安い甘味の販売、学校も学習院とまではいかないが、子供らに無料で読み書きを教える青空教室など、オッドアーズ辺境伯の領地には、あらゆる試みがされていた。

 その全てはフロンティア経由のモノ。他にも牧畜による堆肥や、堆肥による土壌改良、女性や子供でもやれるフロンティア独特な刺繍やレース編み。これがまた、貴族の御婦人らに大流行となり、猫の手も借りたいほど忙しい。

 他にも実践出来そうなモノを、彼は片端から行っている。


 結果、オッドアーズ辺境伯領地は生産性が高まり、税収も上がり、人々の顔も明るくなった。

 息抜きや夢中になれる楽しみが加わった事で、それらが毎日の活力となるのは現代なら常識だ。メリハリのある日常は、人間の体内環境を整える。やる気を起こさせる。ただそれだけの事。

 オッドアーズ辺伯だって、そういった理屈は知らぬものの、効果があるのは誰の眼にも明らか。著しく上がった生産性が、その答えをしめしていた。

 さらに読み書きを学ばせる事で、些細な面倒が減る。通常ならば、いちいち読み上げて農民に理解させねばならない話も、一枚の紙を回すだけで済み、税収も本人立ち会いの元、ひとつひとつ徴収せねばならなかったものが、計算が出来るようになったことで、あらかじめ用意されるようになった。役人はそれを確認するだけで終わる。

 これらが全て、フロンティアの真似事で得た結果だった。


 経験者の言は重く、その試みの数々が功を奏していると聞き、アンドリュフ公爵は何とも言えぬ憮然とした顔をする。


「そのような..... おかしいではないか? 紙芝居は娯楽であろう? 平民に娯楽を与えて、どうして税収が高まるのだ? 教育を施したからといって、何が変わる? 刺繍? 料理のレシピ? 確かにカストラートとは違う..... 雅やかで美味いのは認めるが」


 アンドリュフ公爵とて利になるモノは取り入れていた。ただし、自分に実利のあるモノだけ。美味い食事や見た目の良い刺繍などである。流行に敏感なのは上流階級の嗜みだからだ。

 しかし自分が潤うだけで、それを領地に還元してはいない。むしろ秘匿し、自分達のみで楽しんでいる。


 それでは駄目なのに。


 軽く嘆息して、オッドアーズ辺境伯は真摯な眼差しでアンドリュフ公爵を見据えた。


「少なくとも、我が領地は変わりました。フロンティアの道具ひとつを使うにも説明文が読めねばなりません。特定の人物だけが読めても意味はない。使用する人間がすべからく読める。それが大切なのだと存じます」


 オッドアーズ辺境伯から懇切丁寧な説明を受けても、未だに忌々しげな顔で苦虫を噛むアンドリュフ公爵。


「そんな事は有り得ん。税金の無駄だ」


「ならば、そなたはしなければよい。こうしてフロンティアを視察し、善かれと思うものを私はカストラートに取り入れる。それを使うも使わないも諸侯らの自由だ」


 カストラート国王は穏やかな笑みを浮かべて言い切る。呆気に取られつつも、アンドリュフ公爵は微かな安堵を浮かべた。


『全てに理解を求めるのは不可能だにょ。ダイジョブ、人は損する事に凄く敏感だから。特に貴族は他所様が良くなると、凄い損した気分になるにょ。そしたら勝手に同じ事を始めるにょん♪』


 反論や拒絶がある事など小人さんは先刻承知。だから無理強いはせぬよう各国の王族らにも言い含めておく。


 経験者は語る.....か。


 フロンティアとて一枚岩ではない。頑なに小人さんの意見を拒絶する者らもいた。国政に関わらない範囲で、小人さんも彼等を尊重し、領地経営などには全く口を出さなかったのである。


 結果は御察し。数年とたたずに、否定意見な貴族らも小人さんの政策を受け入れてきた。

 みるみる生産高の変わる他領地に置いていかれ、小人さんを拒絶した貴族らの恐怖は如何ばかりのものだったか。


 同じ事がカストラートでも起きるのだろう。


 知るのはアドバンテージだ。何をして何が起きたか知っているカストラート国王。本来なら、同じ轍を踏まずにいけるハズだったのだ。知っているのだから。


 だがこうして、結局同じ轍を踏むしかない虚しさよ。


 頑迷な老人を説き伏せる術を持たないカストラート。無理強いは簡単だ。しかし、それでは駄目なのだ。

 それで豊かになっても、無理やり従わされたという遺恨が深々と残る。貴族としての矜持を傷つけられた怨みは、未来永劫薄れない。特権階級の人間とはそう言うものだった。


 その証拠に、別にやらなくてもよいとの言を受けて、アンドリュフ公爵の雰囲気が若干和らぐ。


「まあ、せっかくやって来たのです。魔力や魔法に関しては、キチンと報告出来る情報を手に入れませんとな」


 魔法を手に入れるのは数百年に亘るカストラートの悲願である。これに関してはアンドリュフ公爵も否やはないらしい。


「私は許されるなら学習院や孤児院を詳しく知りたいですね。フロンティアには奴隷が見当たらないところも興味深い」


 オッドアーズ辺境伯の言葉に、再びアンドリュフ公爵の眉根が寄せられる。

 それをしれっと無視して、カストラート国王も鷹揚に頷いた。


「そうだな。大抵の場所には労働奴隷がいるものだが、フロンティアにはおらぬようだ」


 よく見ている。


 カストラート国王はオッドアーズ辺境伯を愉快そうに見つめた。

 若いが、それゆえの柔軟さか。視察に訪れたオッドアーズ辺境伯は、どこもかしこも興味津々。ちゃっかり写生セットまで購入していた。


 両極な二人を愉しげな眼で観察するカストラート国王。


「今夜は王宮で晩餐会とのことだ。世界に名だたるフロンティアの料理を堪能してゆこう」


 国王の言葉に頷き、それぞれが準備を始める。


 他の国賓らの部屋でも似たような論争が起きていたが、カストラートと違い、王子達がフロンティアへ留学し、小人さんに救われた経験を持つフラウワーズとドナウティルは、否定的な者らでも一応の理解を示す。

 何よりも二つの国は魔法を知っているのが功を奏した。王子達の操る魔法を知らねば、きっとカストラートと似たような反応をしたことだろう。

 特にフラウワーズは主の森を王都に復活させてもらっている。ツバメに乗って空を飛ぶマルチェロ王太子は、フロンティアの小人さん同様、人々の羨望の的となっていた。


 だから、まさかあんな事が起きるとは思いもよらなかったのだ。




 その夜の晩餐会。運ばれてくる各料理に舌鼓を打ち、唸るように御満悦な国賓の皆様方。


「なんとも.....っ、生肉のようであるが、生ではない。ちゃんと火がとおっている。なのに赤い。どういうことですか?」


 ローストビーフである。


「こちらは複雑な味わいの肉です。とろとろに柔らかくて、だけどしっかりとした形をしていて..... このスライムのようなモノも食感が面白い。茶色の甘じょっばいソースがよく合っている」


 蒟蒻入りの牛スジのどて煮だ。


「ほんとですね。肉を煮込んだもののようですが..... パサつきが全くない。まるで煮こごりのように、ねっとりとしていて美味いです」


 少量ずつ出される料理を物珍しそうに食べる賓客達。誰もが笑顔で絶賛し、あれやこれやと食レポを披露してくれる。

 美味しい物を前にすれば誰でも一緒。過去に万魔殿で大にぎわいした騎士団を思い出して、小人さんは少し懐かしげに眼を細めた。


「これは? 粥ですか?」


 小さな器に半分の御飯と謎い汁。なみなみとかけられた汁を少し匙で掬い、味見したマーロウが、かっと眼を見開いた。


「辛っ、でも美味いなっ!」


 御飯と一緒にかっ込むとさらに美味い。


 無言でかっ込み、顔を見合わせる賓客達。その瞳の煌めきが、この料理を気に入ったと雄弁に物語っている。


「冷や汁と申します。辛味のあるタデという植物をすりつぶし、味噌や出汁で味付けしたものですわ」


 説明しながら小人さんも冷や汁をすすった。


 ああ、これだ。懐かしい。


 田舎育ちの小人さんの地元料理。素朴でさらさら入る汁飯は、夏や食欲のない時の定番料理である。

 これに使われるタデとは『タデ食う虫も好きずき』という諺の語源の植物だ。辛くて虫も食べない植物だが、それを好んで食べる虫もいる。


 ひとしきり御馳走を堪能したテーブルに、食後のデザートとして運ばれたのはコーヒーゼリー。


 真っ黒な塊に真っ白なクリームのデコレーション。賓客らはおっかなびっくりだが、ドナウティルの者達は、その薫りで気づいたようだった。

 プルプルな黒い物体を恐る恐る口にした瞬間、彼らは、ばっと小人さんに視線を振る。


「気に入っていただけまして?」


 くふりと頬を上げる小人さんに、思わず御手上げとばかりに両手を上げるマサハド国王。


「いやはや。我が国の面目丸つぶれですな」


 台詞は物騒だが、その顔は愉快でたまらないといった感じで、によによと笑っていた。いや、文句なく満面の笑みである。


「このレシピは当然いただけるのですよね?」


「どうしましょう。わたくしのお気に入りなデザートですので♪」


 あはは、うふふと辛辣な火花を飛ばす二人。すわっ、何事かと顔を青ざめさせる賓客らのなかで、小人さんをよく知る王族達のみが通常運行。

 辛辣そうに見えるやり取りも、実は気心の知れた証。ただのじゃれ合いだと知っているので周囲も慣れたものだった。


「旨いな、これ。何をつかっているのだろう? 苦味と甘味が絶妙だ」


「このもったりしたクリームも。まろやかで濃厚です。真っ黒な見た目が華やかになって良いですね」


「香りも良い。原料を知りたいな」


 モグモグしている賓客のテーブルに、コックコートのドラゴがやってくる。

 モジャモジャな髭の大男の出現に驚く貴族達。しかし見知った者らは嬉しそうに破顔した。


「美味しかったよ。流石だね料理長」


 口火を切ったのはウィルフェ。それを皮切りに、お馴染みの面々が次々とドラゴに労いをかけた。


「お久し振りです、ジョルジェ伯爵。美味しい料理でした。ねぇ? 兄さん」


「うん、美味しかったよ。今日はお嫁様のとこに泊まっても良い?」


「こら、シャルルっ!」


 軽口を叩く弟を嗜めるカストラート兄弟。


「フロンティアに来たら、この料理は外せないな。王宮での一番の楽しみだ」


「ありがとう存じます、マルチェロ様」


 ファテイマと隣り合わせに座り、その手を優しく包むマルチェロ王太子。周囲が微笑ましそうに生温い笑みを浮かべる。


 仲良き事は美しき哉。


「そうだよな。せっかくフロンティアに来たのだから、前のようにジョルジェ家に集まって遊びたいな。スゴロクだっけ? あれ、凄い面白かったし」


「そなたは仕事があろうがっ! 息抜きにフクワライでもしておれ、あれなら数分で終わる」


「皆と遊びたいの、俺はぁっ」


 マーロウ一人で福笑いしてんのか。シュールだな。


 思わず苦笑いする小人さん。


 各々、勝手なことで盛り上がるなか、苦笑を噛み殺しつつ、ドラゴは深々と頭を下げた。


「恐れ入ります。御満足いただけて、身に余る光栄」


 鷹揚に頷くフロンティア国王夫妻。


 そこへ、あらぬ者がドラゴに声をかけた。


「王宮料理人ですか?」


「厨房を与る料理長です」


 声をかけたのはアンドリュフ公爵。彼はドラゴをマジマジと見上げて不遜な笑みを浮かべる。


「親善の証しに、この者をカストラートへさげわたして頂くというのは如何でしょうか?」


 ざわりと大広間の空気が蠢いた。


「そなたっ! 馬鹿を申せっ!」


 慌てて立ち上がったカストラート王が止める間もなく、アンドリュフ公爵は言葉を続ける。


「たかが料理人一人ではないですか。レシピだけで料理の再現は難しい。料理人をいただければ、我が国にもフロンティアの文化が広まりましょう。何なら買い取ってもいい。金貨百枚で如何か」


 フロンティアを忌々しく思いつつも、その料理などは気に入っているアンドリュフ公爵。

 親善の証しと虚飾し、今夜の晩餐会の料理をその製作者ごと手に入れようとしているだけだった。


「黙れっ! もう、何も言うなっ!」


 顔を凍らせて悲痛に叫ぶカストラート王。


 それに被せるようにフロンティア国王も口を開く。その据えた眼差しに、ありありと滲む辛辣な侮蔑。


「我が城の料理人を売れと申されるか。いやはや、大した御仁だ」


「フロンティアなれば、幾らでも育てられましょう。是非ともカストラートの発展に寄与していただきたい」


 嫌味も通じない傲慢さ。


 アンドリュフ公爵は善くも悪くも貴族だった。王家に次ぐ筆頭貴族。侯爵家であろうとも彼に意見出来はしない。


 .....普通のアルカディアの国であれば。


 彼の不幸はフロンティアを知らない事だった。それゆえに連れてきたのに、完全に裏目に出てしまったカストラート。

 焦燥を顕にし、椅子を蹴るかのように飛び出したカストラート王は、アンドリュフ公爵の肩を力任せに押さえつける。


「御慈悲をっ! こやつはフロンティアを知らぬのですっ! 世迷い言を申しました件、わたくしが深く御詫び申し上げますっ!」


「国王陛下?! 何を言って? 料理人の一人くらい売って頂いても宜しいでしょう? ちゃんと対価は支払いますぞ?」


「頼むから、黙れえぇぇっ!!」


 絶叫に近い声でアンドリュフ公爵を黙らせようと、必死にカストラート国王が押さえ込むものの、時既に遅し。

 公爵の下半身から黒水晶がパキパキと音をたてて生え始めた。

 信じられない現象を目の当たりにし、恐怖に眼を凍らせて悲鳴を上げる各国の貴族達。

 人々が思わず腰を浮かせたため、テーブルの上の食器が、ガシャガシャと耳障りの悪い音をたてた。


「やめろっ! シャルルっ!!」


 真っ青な顔で振り返ったカストラート王の視界に映る弟は、黒紫の靄をまとい、酷薄に瞳を輝かせている。


「はあ? 何、馬鹿言ってるの? 僕のお義父様によくもまあ痴れ事を.....っ」


 唾棄するような眼差しで斜に構えるシャルル同様、その場にいる多くの者らから憤怒の波動が伝わってきた。


「お義父様うんぬんは後で話し合うとして、おおむね同感。ジョルジェ伯爵を買おうなんて、良い度胸だ」


 下半身が結晶化して動けぬアンドリュフ公爵の周囲に、焔の蛇が何匹ものたうつ。ねっとりと絡み付く蛇に恐れ戦き、公爵は絶叫を上げた。

 カタカタと奥歯を鳴らして限界まで眼を剥き、小刻みに震えるアンドリュフ公爵。

 微かな焼け焦げた匂いが辺りに漂い、頭上でチリチリと何かが粟立つ気配のおぞましさで、公爵の喉が張り裂けんばかりに振動する。

 以前よりも精度の増したマーロウの蛇は、上手いこと公爵に巻き付き、その舌先でチロチロと公爵の髪の毛を器用に舐め取っていた。

 しだいに薄くなる頭髪。何をされているのか分からないアンドリュフ公爵は、あまりの気持ち悪さに、ただただ悲鳴を上げるしかない。


『ちっ、出遅れたか。お前らもゆけ』


 千早と取って変わったチェザーレが、周囲に潜んでいたモノノケらをけしかけ、大広間は阿鼻叫喚の嵐に見舞われた。

 かさこそ動き回るカエルやヘビやサソリ達。二本立ての鎌を掲げ、しゃーっと威嚇しながら飛び回るカマキリに、貴族らは死に物狂いで逃げ回っている。


「.....なんで、こうなった?」


 アルカディアは悪い意味で地球の中世とよく似ていた。身分が絶対であり、下位の者は従う他ない。

 奴隷売買も日常で、気に入れば上級貴族が下級貴族を召し抱えるのもよくある事。金銭で交渉する体のよい奴隷である。

 だから、通常ならばアンドリュフ公爵の申し出が罷り通ったはずだった。ここがフロンティアでなければだ。

 さらには各国の王族らと懇意にしているジョルジェ家でなくば、ワンチャンあったかもしれない。

 たとえば公爵が要求したのがアドリスだったのなら、フロンティア国王も一考したかもしれないのだ。

 まあその場合は、小人さん含むジョルジェ家が盛大に暴れただろうが。


 地獄絵図と化した大広間をチラ見して、思わず眼を遠くする小人さん。


 ホント、何で、こうなった?


 小人さんと共に駆け回ってきた各国の王族達は頻繁にジョルジェ家に出入りしているため、ドラゴにとっては息子も同然。

 小人さん共々、やらかせば叱られ、心配して怒鳴るわ抱き締めるわの情に篤い熊親父を、どの王子らも好いていた。

 美味しい御馳走を両手に笑う、裏表のないお父ちゃんが大好きな王子達の前で、盛大に地雷を踏み抜いたアンドリュフ公爵の未来は暗い。


 ぎゃあぎゃあやらかす広間からそっと眼を逸らし、明日は晴れると良いなぁと、現実逃避をしにテラスへ出る小人さん。

 止めないあたり、彼女の気持ちも王子らと同じなのだろう。


 だあれも助けてくれない大広間で、一人、涙目になり雄叫びを上げるアンドリュフ公爵だった。カストラート王にも、もはや庇うことは不可能である。


 御愁傷様♪


 王子達の反応が嬉しくて、こっそり心の中でだけ小人さんはほくそ笑んだ。



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