天国か地獄か(type:御門and武)

サイクロプスが現れ、街がパニックになり、人々はもちろん逃げ惑った。

しかし一向に襲ってくる気配がない。

生気がないようにも見える

途端に中心のモニターから声が発せられた


「皆さん、落ち着いてください!あのサイクロプスは動くまでに5分程度時間が要ります!まずはお手元のジョブカードを触ってみてください!通常だと許可が要りますが今回は緊急事態です!」


20代半ばの女性だと思われる声が街に響いた。

が、それも途切れてしまった。


「オーマイゴォォッド…こんなの人生で初めてだぜぇぇぇぇ…」


いや人だったんかい。

そんなことはどうでも良い。新条は!?新条はどこだ!?

周りを見渡しても一向に見えてくるわけがないが、それでも探したかった。

周りの人はモニターの注意など聞かず、残ったのは150人ほどだ。


「うおっ!」


人がぶつかってきたため、カードがコンクリートへ落ちてしまった

とりあえず拾おう。

ん…?なんだ?緑のカード?


拾おうとすると緑は相手の物だったようだ。下に青のカードが出てきた。


「ねえ、貴方大丈夫?」


顔を上げると、わぁお!こりゃ絶世の美少女じゃないか!とどっかのおっさんが言うほどの美少女が手を差し伸べていた。

髪はボブで、茶色の髪をしている。顔立ちが整っているが外国人ではない。


「ああ、助かったよ」


「あいつは何?」


「あれはサイクロプス…だと思う」


「ふーん…ねえ、さっきモニターの中の人がジョブカードを触れとか言ってたわよね?」


「そうだな」


何か職業がもらえるのだろうか


「とりあえず触れてみましょう」


彼女に言われ、カードに触れると視界にジョブ選択画面なるものが出てきた。


〈あなたがなれる職業一覧です〉

《剣士》

《剣闘》

《剣暦》


少なすぎないか?これ。剣しかないし。

彼女の反応を見てみる。


「すごいいっぱいあるわね、どれにする?えーと…」


「竹内御門だ。御門でいい。」


「じゃあ、御門、私は真紀よ。ところで職業はどれにするの?私的にはこの”創造者”なんてかっこいいと思うのだけれど」


「ちょっと待ってくれ。さっきすごいいっぱいあると言っていたが、俺は3つしか選べないぞ?」


「本当に?何か見間違いじゃないの?」


何回見ても同じだ。困ったものだなとため息を吐いていると


「ガアアアアアアアアアアアア!!」


サイクロプスの目に生気が宿っている。クソッ!もう5分か

しかも、サイクロプスと一緒にゴブリン?とオオカミみたいなのも現れた。

周りを見てみると50人ほどに減っているが、

サイクロプスの真前には戦闘集団だ。


俺たちの方なんか…


……最悪な事にサイクロプスがこっちへきた。


「…戦う?逃げる?」


「もちろん」





「”戦う”だ」


〜〜〜

町中がパニックになり、皆は逃げ惑うばかりだ。

正直、俺も怖いが、とにかく御門を探さなきゃな。


「おおおおおおおい!御門おおおおおおお!」


叫んでいるとモニターから声が聞こえてくる

これが職選か…もっと段階を踏むと聞いていたが緊急事態だと言っていたな。

前々から聞いていたこの職業だな。


《職業は”双銃士”でよろしいですか?》


YESだ!


手元が光ると、両手にP90のようなものがあった。

服も軍隊の服に変わっている。


多分あのサイクロプスを倒すのに俺一人じゃ不可能だ。仲間を集めよう

見渡すとみんなそれぞれの職業になっているようだ。

だが、御門の姿が見当たらない。


「みんな!聞いてくれ!俺はあいつを倒したい!勇気のある奴は俺のところへ来てくれ!!」


そう言うと、続々と人が来る。多分20人くらいだろう

みんな結構楽しんでるのか?


「タンカーはいるか!」


「はい!」

一人、自衛隊の服を着た30代くらいの男性が守りのジョブを取っていたようだ。


「一人か…一人でも大丈夫そうか?あと名前は?」


「大丈夫です。これでも陸上自衛隊だったんですよ。俺は空といいます。」

それとこれとは話が違う気がするが…いいか。


「では空、アタッカーを筆頭に後衛軍は続いてくれ。まだサイクロプスが目を覚ますまで1分ある。ジョブの使い方間違えるなよ」

この時、俺は初めて人のリーダーに立った気がした。俺も幼い頃の御門の様に、誰かを救える人間になりたいと思っていたが、結局いつも守られてばかりだった。

だが、今日は違う。御門はいないが、ここだけでも俺は活躍したい。


さあ、目を覚ますまで10秒前だ。

10

9

8

7

6

5

4


3


2


1


0…


「皆!気をつけろ!どんなことが起こってもおかしくないぞ!」

剣士の一人がそう言った。

そうだ。どんな事が起こってもおかしくない。


周りには人型の化け物と黒い犬っころが大量出現していた。


「ガアアアアアアアアアアアアア!!!」

俺たちはサイクロプスの前で陣形を整えていたが、あろうことかヤツは後ろを向いた。




そこには御門が…いた。


〜〜〜

奥の集団は現れた体が黒いゴブリンと黒いオオカミに蹂躙されていた

ある者は嬲り殺され、ある者は肉を喰われている。

今はそっちじゃない。

5mはあるだろうサイクロプスを前に、恐怖を覚えない人間がいるのか。

いや、いない。だが、隣の真紀という人間は、楽しそうに笑っていた。


「いくぞッッッッッッ!!!!!」


「二手に別れるわよ」


正面からの攻撃…ではなく、二人でサイドからの攻撃を仕掛けた

サイクロプスは銅像のような大きさの棍棒を振り回してきた。

狙いは…俺だ


「ガアアアアアア!!!!」


「うおっ!!??」


当たる直前の所でバックステップで避ける


「ナイスデコイ!」


「俺はデコイじゃない!!」


「ふんッッッッッッッ!!」


真紀はサイクロプスの腹を紫色に燃える長剣で斬った。

サイクロプスの傷口はかすり傷程度だが、そこから炎が浸透していき、サイクロプスを焦がした。


「グオガアアアアアアアアアアア!!」


「今よ!御門!”プロスト”!」


「ああッ!!」

真紀に合図された瞬間、自分の身体から筋肉が軋む音が聞こえた。


「ふッ!」

俺はサイクロプスの腕から首を狙おうとする。

だが、人間の脚力で5mも届く筈がない…と思っていた。

その腕が首と高さが同等になった瞬間


「斬るッ”ッ”」


この感覚は…力が湧いてくる…いけるぞ!!


「水平斬ッッ”ッ”ッ”!!!!」


「ガアアアアアアアアアアア!???」


直後、サイクロプスは消滅、5mも跳んだ俺はもちろん落下し…


気を失ってしまった










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ジョブを極めて世界最強(複数もいけます) へーたろー @soranatsu8

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