第3話 スサノオノミコト×アスリート

「全国高校総合体育大会陸上競技 男子八種競技 第一位 須佐すさ たける おめでとう」


「おい、あいつ、非公式だと世界記録を優に超えてるらしいぜ」

「ま、まじかよ、あっ!そういえば、あいつ競技終わった後、汗一つかいて無かったな」


 あぁ、え、バレてるかな、制御したつもりなんだけど、少し腕に力を入れる、常人ではありえない程、筋肉が盛り上がる、自分では気づかないのだ、


——――――—――――


「また、大会で勝ってしまったな、正直、記録は超えないようにしているのだが、汗、と言ったか、あれを次からは出さないとな」


 帰路につきながら、反省をする、もちろん大会後なのに走って帰る。それがこの男、須佐 猛なのだ、常人離れした身体能力は、スサノオノミコトの神性から来るのだ、そうこの男はその神性を活かして、アスリートになったのだ。


「しかし、このままでは、記録を更新して、神なことがバレてしまう、困ったな」


 走り続けていると、街中に入ってしまう


「あれ、どこかで道を間違えたかな、がちでここどこだ」


 走るのをやめて辺りを見渡していると、少し遠くから女性の悲鳴が聞こえる、女性の声のした方に向かうと、倒れこんでいる女性が居た。急いで駆け寄ると、どうやらひったくりに遭ったらしい。当然神として人を助けねば、気付いたら体が動き出していた、曲がり角、わずかに曲がり切るところ、なんとか目視で確認し、曲がったところでつかんで倒す。もちろん、すさまじい風が巻き起こる、当然あたりの人は注目するし、カメラで撮る人も現れる。


「あ、まずった、おいおい、お前のせいで、なんか俺の方が犯罪者みたいになってるじゃん」


「あ、あの、こいつひったくり犯で、俺、捕まえて、誰か変わってくれませんか、急いでて」


 焦って、完全に犯罪者の発言だし、常人以上の力を出した、あぁ終わったな。


「ありがとうございます!皆さん、ほんとにその人は助けてくれてて、その人がもってるの私のバックです」


「私も見てました、その人が悲鳴を聞きつけて、走ってその後も犯人を追いかけて、いいです」


 人、そうだ誰かが見てくれてたから、犯罪者にならないし、誰かを助けれたんだ、俺は立派な人になれたのか。アスリートとして、その力を活かせたのだ。ほっとしておでこをなでた手には汗がついていた。

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