第12話明るくなる6
あの後父さんと、由香子さんはあっさり帰って行った。 俺と新たにできた義妹を残して
新たにできた義妹 みりあの方を見る、少し緊張した面持ちで下を向いていた。
「えっと、みりあさん?」
「みりあ、と呼び捨てでいいですよ、年上ですし」
「分かった、ならそっちも敬語はやめて、少なくともこれかは兄弟しないといけないし、父さん達に仲悪いと思われて、悩ませたくない。」
「はぃ、あ、うん、分かった」
まぁこう言えば断れないだろと思って言ったみりあも母に心配はかけたくないだろうし。
「あの、冷さんの事はなんて呼んだら…」
「何でもいいよ、別に無理してお兄ちゃんとか兄さん見たいな呼び方もしなくてもいいよ、実際の兄弟なんて呼び捨てで呼び合う方が多いだろうし」
「とりあいずしばらくは、冷さんと呼びます。呼び名はまた考えます」
「うん、でみりあ、正直俺は突然この2人きりにされて驚いてるんだけど、みりあは平気なの?」
「正直…不安です。でも母さんに心配かけたくないし、お義父さんはいい人だったから」
「そっか、まぁ今はもっと大事な話をしよう、これからのことを決めよう」
「うん」
「まず、みりあは今まで一人暮らし?」
「うん、家事とかある程度はできるよ」
「因みに…朝得意?」
「え?それなりに得意だと思うよ、前のアパートは学校遠くて結構早起きだったし」
「じゃあ、家事は朝のだけ頼む、それ以外は俺やるよ」
「いや、流石に悪いよ、もっと均等に分けようよ」
「俺、朝苦手だし、大っ嫌いだから朝以外の家事なんて全く苦痛じゃないんだよ」
嘘だ、朝が1番怠いのは本当だが、正直他も怠い
「それでも…朝の家事なんて朝ごはん作るくらいしか無いですよ」
「別にこれでいいんだよ。て、あ!洗濯物のこと気にしてんの?確かに考えないとか」
「いや、別にこれから嫌でも毎日一緒に暮らすんだから、それくらい気にしないって」
それから1時間程家事の役割分担の話し合いが続き、最終的に朝食と掃除片付けをみりあが、夕飯、洗濯をし、残りのことは随時決めていくことになった。
ちなみに昼食は俺はいつも通り売店があるし、みりあの方は近所の中学に転校するそうだが、その中学は給食なので問題なかった。
この時初めて転校することを知って話を聞いたが、ここからはそれなりに離れで一人暮らしだったらしい。
まぁよく考えたら折角家族になったのに兄弟でそれぞれ違う場所で1人暮らししているのもおかしな話だし、どちらかの家に集まるのも普通の話か。
そういえば夕飯俺の分しか用意してなかったな
「じゃ俺夕飯の買い出しいってくるから」
「あ、冷さん!」
「ん?なんだ」
「冷さん、改めて、これからよろしくお願いします」
少し照れながら上目遣いで言ってきた。
「こっちこそ、よろしく」
スーパーに向かいながら考える。正直かなり面倒だと思っていたが、みりあが思ったより接しやすくて、これからも何とかやっていけそうだなと思えた。
冷の携帯が鳴る、画面を見ると父さんだった。
「もしもし、どうしたの?父さん」
「おう冷!みりあちゃんとはどうだ?」
「どうって家事の分担決めるので時間使いすぎて今に至るよ」
「まぁそれでも、少しでも家が明るくなることいいんだが」
「そんなに暗い?」
「あぁ、凄いどんよりしてるぞ、まぁあくまで雰囲気の話だがな、そこら辺はいろちゃんでもどうにもならないって言ってたし、俺も心配だったんだよ」
「そっか、でもそういう事なら、少し...ほんの少しだけ明るくなった気がするよ」
「そうか、それなら良かった、また困った事があったらーってお前なら大丈夫か、まぁ、なんか父さんが協力できそうなことがあったら連絡してくれ」
「分かったよ」
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