第7話明るくなる
赤羽とゲームをする関係になってから二ヶ月ほどがたった。そして今日も冷の家でゲームをしていた。
「ふー、やっぱり強い」
「いや、赤羽も十分強いから」
「それでもここまで勝てないとね…」
「赤羽は飲み込みが早いから追いつかれるのも時間の問題だ、流石に疲れた。今日はここまでにしとこう」
「そうね、もう遅いものね」
外はもう高校生一人で帰るには危ない暗さになっていた。
「赤羽の家は一駅先だったよな、駅まで送ってくよ、もう暗いし」
「駅もそんな遠くないし別にそこまでしてくれなくても、」
「別に気にするな、これで帰りになんかあったら問題だろ」
こう言うのはなんかあったらもっと面倒なのは分かりきってる。赤羽が帰りに何かあれば俺に面倒に巻き込まれる、それはごめんだ。
「分かったわ。お言葉に甘えさせてもらうわ」
「そうしてくれると助かる」
赤羽を送るために家を出た。
「やっぱり、時間のことを考えると、オンラインで練習した方がいいのかしら」
「オンラインか、ラグがあるのが嫌なんだよな」
それでも赤羽を一人で返すとのも面倒なことになるかもしれない、でも毎回送るのも面倒だし、しょうがないか、
「そうだな、オンラインでやる機会も増やそう」
「そうね、分かったわ」
そうして赤羽を送った後冷は一人暗い道を帰っていた。そうすると冷のポケットのスマホが震える。
「なんだ?」
思わずそんな言葉が出るほど冷の携帯がなることは珍しい、最近赤羽の連絡先を聞いたがそれ以外には中学時代に交換したのが数人と父さんくらいだ。その誰もがほとんど電話をかけてくることはない。
携帯を見ると父さんからの電話であることが分かった。父さんから電話なんて滅多にないことだった。入学式のとき会いはしたが電話は本当に珍しい。そう思いながら電話に出た。
「もしもし、父さん?」
「お、冷元気か?」
「まぁそれなり、で突然どうしたの?」
「あぁ、今週の土曜に一旦そっちに帰る、結構大事な話があるから開けといてくれ」
「分かった」
「それじゃまた」
そうして電話は切られた。
わざわざメールじゃなくて電話にってことは余程大事なのか、いつになく真剣な声だったな。
父さんとの約束の前日、この日も赤羽とゲームをしていた。この日は通話しながらオンラインでやる形だった。
「明日はどうする?休日だしそっちに行くこともできるけど」
「あーすまん。明日は予定がある」
「珍しいわね、朝香くんが予定なんて、仕事?」
「いや、父さんが帰ってくるらしい」
「そうなのね、お母さんは?」
「母さんはいない、だいぶ前に事故で他界してる」
「あ...ごめんなさい」
「別に謝んなくていいよ、もう昔のことだし、まぁそう言うわけで明日はなしで」
「えぇ、分かったわ」
「、、、きろ、、、」
「お、、れい、、きろ、、」
「冷!」
そうして意識が覚醒する。他人に起こされるのは、どうしても目覚めが悪く不快感がある。でもこの感覚はかなり久しぶりだな。
「おやよう冷、相変わらず寝起き悪すぎだぞ」
父さんだ、普通に合鍵を持っているからそれで入ってきたのだろう
「おはよぉ、父さん」
あくび気味に応える
「とりあいず、顔洗って歯を磨いてこーい、トースト焼いとくから」
「分かった」
朝の身支度を簡単に済ませて、父さんの正面のイスに座る。
ちょうどよく狐色に焼けた食パンにバターを塗り始める。
「で、いきなりどうしたの?直接こっちに来るなんて珍しい」
「そうだな、とりあいず食べ終わったら話すとからまずそっちの話を聞かせてくれ、高校とかどうだ?」
「まぁそれなりにって感じ、ゲームする友達も増えたし」
「あーゲームと言えばまた優勝したんだったな、おめでとう」
「ん、プロとしてやってる以上頑張るよ」
「そうか」
二人とも食パンを食べ終わり皿を片付ける。
片付けが終わると。真面目な表情で父さんがイスに座っていた。
俺も正面に座ると父さんが口を開く
「まず、この話をしたら冷に嫌われるかも知れないんだそんな話だ…それでも…きいてくれ」
無言で頷くと、父さんは深呼吸をして再び口を開く。
「、、、再婚することにした」
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