第6話その時空は赤かった4
「待って」
そう呼び止められて冷は振り向き、少し焦りながら答えた。
「何ですか?」
「、、、あなたどこかで会ったことあったかしら?」
赤羽が顔を見ながらそう言ってきた。
よく考えたら、別に赤羽に冷とレインが同一人物であることがバレて問題あるか?
いや、ないな。
声のトーンを元に戻して、
「俺だよ、朝香冷。同じ高校の同じクラスの隣の席の」
「え、朝香くん?言われてみれば…まさかこんなところで会うなんて」
「それはこっちのセリフだ赤羽、お前こそこう言うところには縁が無さそうだが?」
「いやそれは...別に大した理由はないわ、それより場所を変えましょう」
「あぁそうだな」
その後、俺の家で話そうと言うことになり、赤羽も早見さんの車で一緒に送ってもらうことにした。早見さんは「え、なんでyumiさんが!?」と驚いていたが、事情を説明して納得してもらった。
冷の家に着き、早見さんと別れた後赤羽と家に入った。
「朝香くんは一人暮らし?家族は?」
「一人暮らし、家族は父さんがいるが、仕事の関係で今はいない」
リビングに着くと、赤羽は部屋を見渡した。
「綺麗にしてるのね」
「まぁな、昔部屋汚いとうるさい奴がいたんだよ。はぁー、こんな話は置いといて、ゲームしながらさっきの話の続きをしよう。」
「そうね、私も聞きたいことは多いし」
そうして、普段冷がゲームをする部屋に移動した。
「...流石プロって感じね」
冷のゲーム部屋はモニターだったり、パソコンなど、一般的な家庭にはないものが揃っている。
「まぁな」
赤羽は「すごい」と独り言を言いながら機械を触っていた。
「そろそろ本題に入らないか?」
「えぇそうね、早速聞いていい?朝香くんは高校でプロであることを隠しているの?」
「いや、隠しているわけじゃないが、あんまり目立つのは好きじゃないんだ」
「だから、見た目で区別をつけているのね。普段から、その見た目ならモテるでしょうに」
「目立ちたくないっていっただろ、面倒なのは嫌いなんだ」
「あなたがそう言うなら構わないけど、流石に驚いたわね、隣の席の冴えない男の子が、まさか有名なプロゲーマーだなんて」
「驚いたのはこっちもだ、赤羽があんなにゲームをやりこんでいるなんて、意外だったよ」
「まぁ、意外とは良く言われるわね、ゲームは好きだけど、やる友達が出来ない、、、ゲームとかしない人ばっかが私の周りに集まる。悲しいものよ、好きなこと隠すのって」
「大変だな、友達作るのは俺も苦手だから何も言えないけど、ゲーム付き合うくらいはするから」
「ありがと。朝香くん」
赤羽の微笑みは、少しだけ眩しかった
あれから赤羽とはよく話すようになり、学校でも話す回数が増え、放課後に一緒にゲームする関係になった。
「やっぱ仲良いんじゃん」
荒木がそんなことを言ってきた。確か前に赤羽の話をした時はたいして仲良くないって答えたんだっけ。
「まぁ友達って感じだな」
「本当に?実は付き合ってるとかは?」
目を細めて顔を近づけてくる。
「そんなわけないだろ、少し趣味が合ったから、その話を良くしてるだけだから」
「なんだ、つまんない」
荒木が胸に手を当ててそんなことを言ってくる。思春期の恋愛脳め。
「そう言うお前こそどうなんだよ、また告られたって、聞いたけど?」
荒木はイケメンだし、笑顔は優しいし誰にも向ける。入学一ヶ月なのに、告白されたって話をもう何度か聞いている。
「あー確かに告られたけど、やっぱ中途半端な気持ちで付き合うのは違うとおもうんだよ」
そして、性格もイケメンなのだ。
「いいと思うぞ。そのチャラくない所は好感持てるから」
こうして赤羽と友達になれたゴールデンウィークは終わった。
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