第4話その時空は赤かった2
今は、大会の会場にマネージャーの早見さんの車で、向かっていた。
「レインさん、今回の大会は、どんな感じなんですか?」
そんな曖昧な質問を、早見さんがしてきた。
「どんな感じとは?」
「レインさんが負けそうな人とかいるんですか?」
「強い人は結構いますよ。名前知ってる人とか、戦ったことある人もいましたし、負けるつもりはありませんけど」
「さすが日本ランク一位のレインさんは言うことが違いますねぇ」
とニヤニヤしながら言ってきた。去年の日本ランクを決める大会で俺は優勝したのだ。
「八月の大会でそれも変わるんですから、あまり言わないでくださいよ」
「また八月の大会でも一位になれば良いじゃないですかー」
「今まででそれを出来た人はいないんですよ、もちろん勝ちに行きますけど」
未だに日本ランク一位を決める大会を連覇するプレイヤーは1人もいないのだ。
「私は応援してますよ!」
「それは一位のマネージャーって言う称号を手放したくないだけでは無いんですね?」
「まさかぁーそんなわけ無いですよ。プレイヤーとしてレインさんを応援してるんですよ!」
「そうですか」
応援してるのは本当だろう、俺のマネージャーを決める時も積極的に立候補したみたいだし、こうやって自分の車で会場まで送ってくれるマネージャーは珍しく、大体交通費が事務所から払われるだけだ。
「あ、着きましたよー」
そう言って会場に入った。
簡単な受付を済ませたあとトーナメント表を見た。Cブロックだった。
この大会はAからDの四つのブロックにわかれてそれぞれの一位4人が本戦に進めるのだ。
「師匠ー!」
と声が聞こえた。
「どうも久しぶりっス!師匠!」
「久しぶり」
声の主はサラ。彼女とは去年の夏の大会で出会いお互い数少ない中学生と言うことで話すようになり、対戦するうちに冗談半分で師匠と呼んでくるようになったのだ。
「相変わらず素っ気ないっスよ~」
「お前は元気すぎ」
「そ、そうっスか!?」
サラは少し恥ずかしそうに頬を紅くしていた。
「あ、マネージャーさんもこんにちは!」
サラは分かりやすく話を逸らすように言った。
「こんにちは~サラさん。ここにいるってことは、サラさんも参加するんですよね!」
「はい!私は、Aブロックだったっス!師匠はどのブロックだったっスか?」
「こっちはCだった」
「なら当たるとしても、決勝っスね!師匠と戦えるように頑張りますね!」
「そこいらの人に負けるような実力じゃないだろ」
サラはプレイヤーとしても強い、親の反対でならなかったが、彼女もプロにスカウトを何度か受けている実力者だ。
「あ、二人とも、そろそろ一回戦始まるよ」
「え、もう、そんな時間!?それじゃ師匠も頑張ってくださいっス」
そう言って、元気に行ってしまった。
その後俺は、順調に勝ち進んでブロック優勝までした。そうして、早見さんと合流して、サラを待っていた。
「なんか、Aブロックで、無名の強い人がいるらしいですよ」
「サラじゃなくて?」
「そうらしいです。凄い美人って騒がれてましたよ、次Aブロック代表を決める戦いで、その人とサラさんが戦うみたいです。」
「ふーん、どっちが来てもいいけど、無名の美人プレイヤーか」
サラは強い、もしそれを倒すなら、警戒しないといけないかもな…正直めんどくさくい。
「なるほど、どっちがきても、俺が勝つと、流石の余裕ですね〜」
「うるさいですよ、マネージャー変えてもらいますよ?」
冗談気味に言った。もちろんそんなことする気はない。
「ごめんなさい、、、反省してます、、、」
深々と頭を下げてきた。
「もしも、そんなことになったら、選手の評判の悪いマネージャーなんてレッテル貼られて、仕事なくなってしまいますよぉ」
涙目になっていた。軽い冗談のつもりだったが、マネージャーにとっては死活問題らしい。
「いや、冗談ですよ?早見さんは、いいマネージャーなんですから、そんな卑屈にならないでくださいよ」
そんな会話をしていたら、とても落ち込んだ顔のサラがこっちに近づいてきた。
「負けちゃっス…」
「そうか」
「相手の方、凄い強かったっスよ、正直今までなんで出てこなかったのか気になるレベルっス」
確かにサラを倒せるレベルなら相当なものだ、他の大会でも結果を残せるレベルだろう。それに加えて美人なら話題になるだろう
「きっと再戦の機会がある、それまでにまた強くなればいいさ」
「はい!練習相手お願いしますっス!」
と切り替えて、可愛い笑顔を向けてきた。今日は、これで終わりなので、サラにも別れを告げて、早見さんの車で家に戻った。
「早見さん、ありがとうございました。明日もよろしくお願いします」
「はいもちろんです!ではまた明日!」
そう車を発車させた。俺はコンビニで買ってきた。弁当を食べながら明日のことを考えていた。
「はぁー、サラが負けた相手かぁー」
当たるのは決勝だ、まだ戦うと決まるだだわけではないが、気になるものは気になる。
「練習するか」
そうしてゲームを起動した。そしていつもより気持ち早く眠りについた。
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