第3話その時空は赤かった 1

今日も、いつもと変わらずに高校に登校する。教室に入ると、明日からゴールデンウィークが始まるからなのか、とても騒がしかった。先に近づくと珍しく赤羽がイヤホンをつけていなかったので、


「おはよう」


と挨拶してみた。最近は授業の中で会話する事もふえてきたので、普通に挨拶しただけなのだが、赤羽は、少し驚いたような目で見てきた。


「なんだ?陰キャには挨拶も受け付けないのか?」


自虐気味に話す


「あ、ごめんなさい、普段イヤホンを付けている時間だから、もしかしてイヤホンつけてる時も挨拶してくれてた?」


「いや、イヤホン付けてるのは、流石に見えるから」


「そう、良かった。今日は、小テストがあるでしょう。だからそっちの勉強してたの、だから流石にイヤホンはしまったわ」


「そうか、なら邪魔したな。続けてくれ」


「別に邪魔と言うことは無いけど、挨拶くらい構わないわ」


俺は、赤羽頷いておき、本を読み始めた。




昼休み、購買で買ったパンを食べていると、


「おー、冷じゃん!一緒食っていい?」


荒木が声をかけてきた。


「お好きにどうぞ」


「冷は、ゴールデンウィークなんか予定ある?」


「あるけど?」


「なんだーあるのかー冷とも遊びたかったんだけどなー」


「悪かったな」


「いや、また機会はあるから、また誘うよ」


「待ってるよ」


「そういえば、朝赤羽と話してたな?仲よかったのか?」


「隣の席だしな軽く話す程度だ」


「そうなのかーかなり美人さんだよなーてかこのクラスけっこう可愛い子多いよな?」


「そういうのは、モテない奴の会話だぞ。それでもその逆じゃないだけ少しはマシだが」


「悪かったって確かに俺も、このクラス可愛い子いなくね、とか、ブサイクしかいないな、みたいな会話は、ちゃんと引くから安心しろ。」


「そうか」


「でもこのクラスに可愛い子が多いのは本当だぜ?赤羽とか高月とか」


「はいはい、俺には縁のない話だよ、ほら教室戻るぞ」


「おーい、置いてくなよ〜」






しばらくして高校が終わり、家に着いたら、宿題だ。ゴールデンウィークの課題は、それなりに多く出されているが、俺は大会に3日、時間を取られるのだ。早めにやるしかないのだ。


「多すぎるだろ、、、」


何時間か経った頃ようやく半分ほどが終わった。


「ふぅーこんだけやれば後は何とかなるだろ」


そうして大会に向けての練習のためにゲームを始めた。練習といっても最後の仕上げの段階も終わってるため、確認作業のようなものだが、出るからには優勝を常に狙うこれが冷の信条だ。ベストなプレーが明日できるよう練習は欠かさないのだ。


それからしばらく練習し眠りについた。








翌朝、目が覚めると、いつもの不快アラームではなく、ピンポーンと何度もなっている音に起こされたことに気づいた。


「あー、早見さんか」


眠い目を擦りながら家の鍵を開けた。


「おはよぉございます。」


と眠そうに挨拶すると


「おはようございます、レインさん!出てくるの遅すぎです。朝からこんな待たされるのは流石に辛いんですから」


「すいません、朝は本当無理なんですよ、ほら入ってください」


今日は、大会当日、マネージャーである早見さんが車で送ってくれるとのことなので、朝から来てくれたのである。


「着替えてくるんで、適当に座ってて下さい」


「はーい」


「早見さん朝ごはんは食べてきたんですか?」


「あ、まだなんですよ、流石に時間が早かったので」


「今から、食パンの上にチーズとベーコンと目玉焼きをのっけたやつ作りますけど、食べます?」


「え、なにそれ、美味しそう。でもいいの?朝はあんまりって、、、」


「これから送って貰うんですからそれくらいやりますよ、それにそんな難しいものでは無いので。」


「では、お言葉に甘えて、実は結構お腹へってたんですよ~。」


「待ってて下さい今から作り始めるので。」


すごいだるいし面倒、そんな体に鞭打って動かす、作るもの自体はたいして難しいものではないんだ、がんばろう。食パンにチーズをのっけて、トースターで焼き、その間にハムエッグをフライパンで焼く、どっちも焼けたのを確認したら、後は食パンの上にハムエッグをのっけて完成だ。


「できましたよ」


そう言って早見さんの前に出す。


「おーシンプルに美味しそう!レインさんって朝ごはんいつも作ってるんですか?前朝だけは無理っていってませんでしたっけ?」


「普段はしませんよ、面倒なので、ほら、冷める前に早く食べて下さい」


「はーい、いただきまーす!うん美味しい!」


そして朝食を食べ終わった頃早見さんが、


「15分後くらいに出ましょう」


といったので準備を始めた、普段簡単に溶かすだけの髪の毛にワックスをつけ、いつも死んでる目を、意識的に開ける、割とおしゃれな服を着て準備完了。


プロゲーマーとして、最低限の身だしなみは整えなければ、事務所側の品位が問われる。そうじゃなくても、プロゲーマーは決して儲かるわけではないため、動画投稿や配信活動をする人も多い、その時清潔感などの見た目は大事だ。だから俺も最低限見た目を整えるのだ。


「レインさん、やっぱりおしゃれすると印象変わりますね!」


「ありがとうございます、そうしたほうが、得なので」


「普段からそうしたほうが、得だと思うんですけどねー」


「いやですよ、面倒ですし」


「高校生はモテたいと思う年だと思うんだけどなー」


「別に、俺は思いませんので、そろそろ出ましょう」


そう言って、家を出た。








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