8

翌朝、初めて出社拒否したいと思った。


「あ~行きたくないよ~」


いつも通りに朝起きて仕度を始めたけど、服を着る気にもなれず、洋服を持ってじたばたする。


「私が出勤しなくても、部長が代わって業務を行ってくれるはず。どうしよう、休んじゃおうかな?」


社長からメールが来て退職はとどまったが、今度は出社拒否だ。自分がしでかしてしまったこととはいえ、本当に行きたくない。一体私はどうしてしまったのだろう。


「……はい、そうなんです……はぁ……申し訳ありません、よろしくお願いします」


とうとう欠勤の電話を入れてしまった。息苦しさを前面に出して、具合が悪い女を演じた。ずる休みなんて、バイトの時でさえしたことはなかったのに、なんということだろう。


「う~、明日がもっと行きづらい~」


分かっているなら出勤すればいいものを、それが出来なかった。

私はずる休みを正当化しようとしたが、出来る筈もなく、落ち着かない時間をパソコンでゲームしたり、ネットショッピングに動画配信を観たりして、時間を潰した。頭から居眠りが払拭出来ればなんでもよかった。

仕事をしていても、一日はあっという間に過ぎていたが、それよりも休みでだらだらとしている方が、時間が過ぎるのが早い。


「もうこんな時間か」


お腹が空いて時計を見ると、7時を過ぎていた。

冷蔵庫には何も入っていないことは分かっている。部屋着のまま、近くのコンビニに行くことにする。スポーツサンダルを履いて、だらだらと歩いた。一日中閉じこもっていたら、外の空気がおいしく感じる。何もなかったように思えるほど、空には星が出ていた。


「宇宙に飛んでいきたい気分ね」


センチメンタルな気分になったが、お腹が鳴って現実に戻る。コンビニで食料を物色して、スマホを見ながら自宅へと歩いていると、名前を呼ばれた気がして、立ち止まる。ふっと顔を上げると、そこには車にもたれて立っている社長がいた。その姿が様になりすぎていて怖い。


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