3話

☆☆☆

誰もいない通学路をゆったりと歩いていく高校生がいた。

 髪色は明るい茶色。

 制服はおりこんでいるのかミニスカートになっている。

 彼女は小さなカバンからきらびやかに装飾されたスマートフォンを取り出した。

 よく電話している相手なのだろうかすぐに呼び出し音がかかる。


「あ、ごめんね。こんな早い時間に。

 ちょっと気になることがあったから電話しちゃった。

 昨日、気になる噂を聞いたんだよね。

 拓斗くんが大切にしていた女から離れたって


『他の女じゃダメなんだ』


 とか言ってたのにさ。

 こんな嬉しい事はないよね?

 しかも話かけられちゃった。

『美沙に関わるな』ってさ。」

 電話相手が二言、三言アドバイスをする。


「うん。そうだよね。嫌われているよね。いまは。

 彼、不思議なこと言うよね。

 好きだから、拓斗くんには関わるけど。

 その回りにいる子には

 興味ないんだよね


 まぁ冗談であの子に足掛けたりはしちゃったけど」

 相手の言葉に彼女は驚いたように聞き返した。

「え? なんでかってその場のノリなんだけど。

 まさか二人とも本気にしてないでしょ。

 超ラッキー!

 このチャンス使うしかないよね!

 うん。平気平気。頑張るってか余裕でしょ。

 じゃあ聞いてくれて有難う」


 電話を切った彼女は電車に乗り込んだのだった。


 

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