*第122話 恋する遺伝子

カイエント領となった旧ニャートン帝国の領域だが、

エルサーシア達は、名称の変更は最小限に留めた。

地元民に不必要な劣等感を持たせない為である。


従って変更されたのは、従来の地域名の先頭に、

“新しい”を意味する古代ダモン語の“ゴロ”を付けた、

“ゴロニャートン州”が追加されただけである。


旧ニャートン帝国帝都ノーベルンは、

ゴロニャートン州領都ノーベルンと成った。


***


失敗しましたわぁ~

此処に住むと判かっていたなら、

あんなに派手に壊したりしませんでしたのに。


報奨金も、賠償金の割り当ても、

元皇宮の修理費に、あっと言う間に消えて

無くなりましたの。


それどころか持ち出しですわ!


都市や港湾の復興費も50年償還の債権を発行しましたの。

私の生きている間に返せるかしら?


確かに壊したのは私ですけれど、勝ちましたわよね?

それなのに何故に借金まみれですの?

体裁ていさいよく押し付けられましたわ!


はぁ~~~

利払いが辛いですわぁ~


「なんとか成りませんの?ルルナ。」

こう言う時はルルナに聞くのが一番ですわ!


「ゴリレオちゃんに丸投げすれば良いですよ。」

挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16817330664119450651


「ちゃん?」

「あぁ、サリー先輩がそう呼んで居るのですよ。」


なんでもゴリレオ陛下は四始祖の一人、

横井大志のクローン体だそうですの。

経年変異で多少は違う様ですけれど。


アイシュタ王太子も、ニルボア王子も、

陛下のクローン体だそうですわ。


それで伊予ちゃんの面影が残る私に執着心が有るから、

裏切らないだろうと言いますの。


「いくらクローンでも人格は別でしょう?」

本人ならいざ知らず、恋心まで受け継ぐかしら?


「経験記憶の一部は遺伝子に記録されますよ。」

あら!そうですの?


ルルナ曰く。

食べても良い物とそうで無い物とか、

天敵の匂いとかはその代表的なものだそうですわ。

それが有るから適応進化が出来るそうですの。

偶然だけでは都合が良過ぎますものね。


「“伊予ちゃん大好き遺伝子”が有りますの?」

「まぁ、そう言う事ですね。」


と言う事で呼び出したら飛んで来ましたわ!


「何んなと言っちゃてんない!

我んが一族ば、あんたんこつ好いとーと!」


それでは遠慮なく、

丸投げでお願い致しますわ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る