*第111話 洗濯と集中

この3年間と言うものバルドー帝国は、すっかり大人しくなり、

小競り合いすら起こらない。


しかしアヘンの密輸は続いて居り、

憲兵隊が躍起やっきになって取り締まっては居るが、

一度張り巡らされた流通網は簡単には潰せない。


以前ほどでは無いが、軍備も着々と整えられている様で、

全く油断は出来ない。


王国内には気の緩みが見られる。

一時は自粛されていた遊興ゆうきょうや祭典等が再開されて、

未だ“休戦”でしか無い事を忘れている様だ。


***


「ですから!

此処は“下着”の方が宜しいですわ!お母様!」


アリーゼが小賢しい事を言いますわ。

まだまだ子供ですわね。

3歳児ですものね、無理もありませんわ。


「それではまるで下着泥棒の様でしょう?

やはり“パンツ”にすべきですわ!」


パンツこそが尊いのですわ。


「それだとパンツ泥棒では有りませんか!

小者感が情けないですわ!

こころざしを大きくお持ちになって下さいませ!」


まぁ!生意気を言う様になったわね。


「あえてパンツにこだわるのが義賊と言うものですわ!」

洗濯と集中ですわ!


「では隣にあるブラジャーは見過ごせとおっしゃるのですか?」

「えぇ!そうですわ!

ブラジャーは人を選びますのよ!

差別主義者ですわ!

パンツは総ての人に愛を与えて呉れますのよ!」


アリーゼと精霊歌の共同制作をして居りますの。

親子のコミュニケーションは大事ですわ。

本音でぶつかり合い、意見を戦わせますの。

挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16817330663232547383


そして二人で力を合わせて何事かを成し遂げますのよ。

愛ですわぁ~


「どっちも泥棒やないですか?」

それは違うわシモーヌ。


「貴方は何も分かっていないわね。

良いこと?シモーヌ。

100コールの干したブラジャーは只の安物よ。

けれども10コールの干したパンツは値段以上の価値が有るの。」


「だからそれ泥棒ですやん!」


失礼な!

ドリームハンターよ!

盗られる方が悪いの!


「お母様、それでは“パンツ”で一度歌って見ませんか?」

「えぇ!そうしましょう!」


ファン♪ファラ~ラ♪ファ~ン♪

ファ~ララ~♪ファララァ~ン♪


ジャン♪ジャン♪


パラ~ラァ~ン♪


物~干~しぃ♪竿~ぉの♪も~のぉほ~しぃさ~おの

端っこに~はしっこに~


あぁあ~~~あぁあ~~~


白~ろ~い~パンツ~がぁ~し~ろぉい~パンツ~がぁ~

在るのだろう~~~あるのだろう~~~


誰~れ~も~居~ジャンジャンジャンジャァ~ンない~パラッパァ~

時~間~ん~の街~チャ~チャランラチャァ~ンちを~パラッパァ~

おじさ~んは~パァ~ンパラッパラァ~ン

探~がし~求~める~ジャンジャランカジャァ~ンジャラァ~ン


ジャカジャンッ♪


二~階~いの~奥~くのに~かぁい~のぉお~くの

ベランダで~ベランダで~


あぁあ~~~あぁあ~~~


何~に~が~干~し~て~なぁ~にぃ~がぁ~ほぉ~しぃ~てぇ~

在るのだろう~~~あるのだろぉ~~~


希~望ぉ~が~欲しい~ジャンジャンジャンジャァ~ンカジャァ~ン

胸~ねを~萌や~して~ジャンジャランカジャァ~ンジャラァ~ン


壁を~チャラチャンジャンよじ登~る~ジャランカジャン

ひとり~~~パパァ~ラァ~


ゴーゴージャンジャン

取れ~そう~ジャカ~ジャァ~ン


ゴーゴージャンジャン

取れ~そう~ジャカ~ジャァ~ン


ゴーゴージャンジャン

ゴーゴーゴージャンジャンジャン


盗れ~た~~~パラァ~パァ~~~ン♪』


ジャカジャンッ♪


「美しいハーモニ~でしたわよ、アリーゼ!」

「はいっ!お母様!」


「結局、泥棒やさかいっ!」

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