*第104話 姫と三銃士

「つまり俺達に最初の契約者になって、

精霊契約をこの世界に広めて欲しいと?」


要するにそう言う事だ一応は。


「それも良いんじゃないかな?面白そうだし

それに伊予ちゃんと旅が出来るなんて最高だよ!」


行商人として旅慣れている真司は乗り気でいる。


「俺も賛成だ、目的の有る人生は良いもんだ。

糞の代わりに信者を集めて、奴隷から教祖様だぜ!」


桶一杯の供物を天秤棒で担ぐ光景を思い描く。

体に染みついた生活は、そう簡単には抜けない。


「僕も引き受けるよ!それが使命なら。」


頬を薄紅色に染めて伊予が決意を口にすると、

三銃士達の胸に闘志がみなぎる。


『姫は俺が護る!』


「なぁ、久しぶりにアレやろうぜ!」

「あぁ!やろう!」

「でも剣が無いじゃん、恰好つかないよ。」


「契約が済んだら剣くらい出せますよ?」

サリーちゃんが提案する。

「本当?じゃぁさっさと契約しようよ。」


一人ずつ順番に祭壇に登り契約をする。


伊予のパートナーはサリーちゃんだ。

横井大志のパートナーはルルベロ。

寺島真司はヤンキーモモ。


最後に柿本光一が祭壇に登る。

パートナーは普通の女子高生。

傍目から見ると危ないカップルの様だ。


「君、本当に精霊?」

「そうですよぉ~信じて下さいよぉ~」

「ふぅ~ん」


全員が恙無つつがなく契約を結んだ。

物質の具象化で3本のレイピアが現れた。


「さぁ!伊予ちゃん、真ん中に立って!」


伊予を中心に三方から剣を掲げ、

声を揃えて唱和しょうわする。


「伊予ちゃんはみんなの為に!

みんなは伊予ちゃんの為に!」


「いぇ~~~い!」

伊予は弾ける笑顔で答えた。

挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16817330662686773006


此れから彼らは世界中を旅して廻る事になる。

最初の10年は毎日が楽しく、幸せな布教活動であった。


信者の数も増えて、教団は強力な魔法と

福音をもたらす者として民衆から支持されて行った。


しかしその幸せに崩壊の時が訪れようとしていた。


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