*第93話 始まる夢
(
自分の頭を認識出来ない。
(
(
芳夫は生まれつき
一般的な症状とは違い、抑揚と強弱が有り
誰かが話しかけている様な感じがしていた。
検査では全くの異常なし、薬も効果は無く
幻聴かも知れないと心療内科へも通ったが、
改善はされなかった。
(
『だから!私の話を聞いてってばぁ!』
(え?)
『やっと波長が合ったんだよぉ~』
(波長?)
『そうそう!いやぁ~間に合った~』
(へ?)
川崎芳夫25歳 自由業
要するに“何でも屋さん”である。
部活の先輩に誘われて始めた、
その日暮らしの気儘な毎日だった。
その日は大きなタンク内の掃除を手伝う仕事だった。
四人掛かりで昼までには終わる予定だった。
ブラシでゴシゴシ、ゴシゴシ、ゴシゴ・・・
挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16817330662045426188
そしてここに居る。
酸素欠乏症による窒息死である。
『必死に注意したのにぜんぜん通じなくてぇ』
(そー言えば何時もより酷かったな耳鳴り)
『耳鳴りじゃ無いんだよぉ~』
(そーとしか感じないよぉ~)
芳夫も明と同じく転生予定者として、
生まれた時からナビゲーターが付いていたが、
脳内の物理的な不具合により
受信が出来ないまま死んでしまった。
肉体から離脱した事で直通での会話が可能と成り現状に至る。
明と同様に事情説明を受けた。
(なんか・・・人生を無駄に過ごした気がする)
『まぁ、次があるから!』
(不安だなぁ~)
『転生者の先輩の子供として生まれるから大丈夫だよぉ!私もいるしぃ~』
(先輩いるの?どんな人?)
『えぇ~っとねぇ、パンツの好きな人?』
(???)
そうして彼は転生した。
「
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